『ソリッドベンチャー』の背景と概要
エンジェルラウンド株式会社の代表、大越匠氏が著した新書『ソリッドベンチャー』が2026年10月28日に発売される。この本では、既存事業をベースにした新規事業の挑戦を支えるための視点と実践方法を詳しく解説している。
大越氏はこの書籍で「ソリッドベンチャー」という概念を提唱する。この言葉は、企業がどのような属性に属するかに関係なく、安定性を持ちつつ新たな挑戦をする状態を指している。彼によれば、企業が倒れにくいことは新規事業への挑戦回数を増やす要素となる。これは、既存事業から生み出されるキャッシュフローによって権利や時間を生じさせ、新たな挑戦を可能にする仕組みに基づいている。
新たな企業の成長モデル
本書が注目するのは、顧客からしっかりと売上を上げながら、利益や顧客基盤を広げていく経営モデルだ。従来の「スタートアップ」という短期間での急成長と、「スモールビジネス」という堅実な経営スタイルという二項対立では捉えきれない多様な成長の道筋を、独自に提起している。大越氏は外部からの出資や黒字・赤字といった単純な指標だけで成長意欲を測ることに疑問を持っている。彼は、新たな挑戦を支える余力が企業運営において重要であると主張する。
ソリッドベンチャーの実践
書中では、企業が持つべき安定したキャッシュエンジン、つまり持続的な資金を生み出す事業モデルを重要視。さらに、既存事業で資金を生み出し、その余力で新規事業にチャレンジするステップを詳細に解説している。また、各新規事業が想定通りに進まない場合でも、企業は会社存続の余力を保ちながら撤退し、その経験を次の挑戦に生かす方法も示している。
企業の状態を理解する
大越氏は、企業の状態を把握するための「企業分析六つの窓」という枠組みを紹介している。これによって、資金を生む事業の仕組みや資本構造、リスク、組織などの側面から自社の位置を明確にできる。読者はこの視点から自社の現在地を考え、その上でどのような戦略を選ぶべきかを考える手助けを得られるだろう。
スタートアップとスモールビジネス
本書では、スタートアップを「非連続な成長」を追求する企業モデルとして位置づけ、先行投資と赤字を許容する戦略として理解されている。一方、スモールビジネスは、経営者が把握できる規模で顧客に価値を提供し、財務的に安定した状況を重視している。大越氏の考えでは、どちらのスタイルも「ソリッドベンチャー」の視点が適用できることを示唆している。
経験に基づく経営の共通点
大越氏は、事業会社での営業や新規事業立ち上げの経験だけでなく、ベンチャーキャピタルでの投資先支援を通じて得た知見を融合させている。この本は、さまざまな業界の経営者や起業家が新規事業の立ち上げや、経営の視点を再確認するための良い手引きとなるだろう。
書籍情報
『ソリッドベンチャー』は、起業家や中小企業の経営者、新規事業を担当する者、または投資家にとって必見の一冊だ。具体的な経営戦略を提示しつつ、失敗のリスクを受け入れつつも企業が生き残るための道筋を示している。
目次
1. ソリッドベンチャーとは何か?
2. スタートアップとスモールビジネスの限界
3. IPO市場の現実
4. 最初の事業から次の柱を作る方法
5. ソリッドベンチャーの作り方
6. ソリッドベンチャーの未来
このような内容から、本書は新たな企業の挑戦を支える有力な理論と実践を提供してくれる。大越氏は自身の経営体験を通じて、多くの企業家に「何回挑戦できる会社か?」という視点を持たせたいと願っている。