ニッケの新素材「NIKKE AXIO」、宇宙服に選ばれた理由とは

ニッケの革新素材「NIKKE AXIO」が宇宙服に採用

日本毛織株式会社が開発した「NIKKE AXIO」が、国際宇宙ステーション（ISS）で使用されることが決まりました。この画期的なウール素材は、過酷な宇宙環境における性能が評価され、宇宙服の一部として採用されることとなったのです。

宇宙との新たな提携

「NIKKE AXIO」は、シタテル株式会社と株式会社スノーピークとの共同プロジェクトの一環として開発されました。このプロジェクトは、JAXAが提唱した「宇宙生活/地上生活に共通する課題テーマ」に応募し、厳しい審査を経て、最終的に宇宙での搭載が認められました。安全性や機能性が高く評価され、宇宙生活を快適にサポートすることが期待されています。

NIKKE AXIOの特長

「NIKKE AXIO」とは、特許第5701275号の技術を用いて開発された新しいウール素材です。具体的には、直接ウールの繊維束の内側にフィラメントを包み込み、独特の偏芯螺旋構造を持つ糸として造られています。これにより、ウールの快適さを保ちながら、強さや耐久性を兼ね備えています。

優れたパフォーマンス

この素材の最大の特長は、蒸れにくく臭いが発生しにくいというウールの特性を最大限に引き出している点です。さらに、ストレッチ性も高く、肌触りがソフトであるため、長時間の着用でも快適に過ごせることができます。また、毛玉ができにくく、長持ちする点も大きな魅力です。

開発の背景

「NIKKE AXIO」の開発には、ニッケの長い歴史と情熱が背景にあります。120年以上にわたり、ウールに関する技術を深化させてきた日本毛織は、ウールの特性を引き出しながら、合成繊維との融合を目指しました。以前の技術では、ウールの柔らかさや美しさを犠牲にするしかなかった中、開発者の安田智則が逆転の発想で新技術を模索しました。

逆転の発想

彼のアプローチは、「巻き付けるフィラメントにテンションをかけない」というもの。これにより、ウールの柔らかさを保ちながらも、強度を損なわない新しい糸を開発することに成功したのです。その後、一宮事業所の新しい所長である岡田啓がこの技術に注目し、プロジェクトが加速。技術者たちがこの魅力を理解するにつれ、協力者が増えていきました。

最終的な成果

開発が進む中、試作品が完成し、その性能は期待以上でした。当初の不安をよそに、試験の結果は非常に良好で、さまざまな特性が次々と明らかになり、ついには「NIKKE AXIO」として商品化される運びとなりました。

宇宙へと旅立つ

「NIKKE AXIO」は、宇宙服として採用されるだけでなく、様々な用途に適した素材として展開されています。2013年には靴下メーカーに採用され、高価格帯にもかかわらず好評を得ました。続いて、航空会社の制服や学生服市場でも取り扱われ、2022年には夢の宇宙へと旅立ちました。この素材は、自宅でも体験することができます。

まとめ

NIKKE AXIOは、技術者たちの挑戦と逆転の発想から生まれました。その行程には、開発者たちの情熱が込められており、今後も新たな可能性を秘めた素材として進化し続けることでしょう。宇宙服としての選定は、その優秀さの証です。興味のある方は、ぜひニッケの公式ショップでその素晴らしさを体感してみてください。