シリコーン硬化を革新する鉄触媒の開発
日本の北里大学と大阪公立大学が、シリコーンの硬化において世界初のレアメタルに依存しない鉄触媒を開発しました。この触媒は、従来の白金触媒に匹敵する高い活性を持ち、持続可能な製造プロセスとして注目されています。
1. 開発の背景
シリコーンは、その優れた特性から、工業プロセスや医療材料、日用製品など多岐にわたって利用されていますが、これまでの製造過程では白金触媒が広く用いられていました。しかし、白金触媒はその高コストや、硬化後に製品に残すという欠点がありました。また、白金は地政学的リスクも伴うため、その価格は変動しやすく、製造コストの不安定要因となっていました。
このため、研究者たちは、レアメタルに依存しないシリコーン硬化技術の開発に取り組んできました。ついに実現したのが、今回の鉄触媒です。
2. 鉄触媒の特徴
新たに開発された鉄触媒は、シリコーン硬化用に最適化された分子構造を持ち、高い触媒活性と空気耐性を両立させています。具体的には、残留鉄の量を質量比で100万分の1まで削減可能で、無色の硬化シリコーンの製造を実現します。また、従来の白金触媒で困難だった窒素や硫黄、リンなどのヘテロ原子を含むシリコーン材料でも硬化を行い、その性能を確認しました。これにより、新たな高機能シリコーンの開発が期待されます。
3. 今後の展望
今後、北里大学は、シリコーン関連企業との共同研究を進め、実用化に向けた開発を続けます。また、2026年1月には東京ビッグサイトで開催される「nano tech 2026」で、今回の鉄触媒を実際に展示する予定です。この機会に、業界関係者と連携し、持続可能で安定的な産業基盤の構築を目指します。
4. 鉄触媒の市場投入
開発された鉄触媒は、2026年1月21日より東京化成工業が販売を開始すると発表しました。この新しい技術が実際の市場にどのように受け入れられるか、さらなる注目が集まります。
この技術革新によって、シリコーン産業におけるレアメタル依存の問題が解決されることが期待され、持続可能な化学品製造への道を切り開くことになるでしょう。