TISとインフォメティス、中国電力と連携しエコキュート最適制御の実証実験を開始
TISインテックグループのTIS株式会社とインフォメティス株式会社は、中国電力が進める家庭向け上げDR(デマンドレスポンス)の実証実験を支援すると発表しました。この実証実験では、TISの機器制御コントローラーとインフォメティスの最適制御(AI)技術を活用し、エコキュートを遠隔から制御することで、電力効率化と再生可能エネルギーの利用拡大を目指します。
背景:脱炭素化社会に向けた再生可能エネルギーの活用促進
カーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギーの主力電源化が加速する中、太陽光発電や蓄電池などの分散型リソースの価値最大化が課題となっています。2026年には、家庭用蓄電池や電気自動車、エコキュートなどの低圧リソースが需給調整市場で本格活用される方針が決定しており、これらのリソースの有効活用が注目されています。
エコキュートは戸建住宅において普及率が約24.3%と今後も成長が見込まれており、今回の実証実験では、エコキュートの制御を通じて、低圧機器DRサービスの実現可能性を検証します。
実証実験の内容:昼間の太陽光発電を活用した夜間電力需要のシフト
本実証実験では、太陽光発電が見込まれる昼間に、夜間の電力需要をシフトさせることを目指します。具体的には、エコキュートの沸き上げの一部を夜間から昼間に移行することで、太陽光発電の電気を効率的に利用します。
実証実験の目的
遠隔制御によるDRサービス価値の検証
遠隔制御によるシステム実現性の検証
実証実験の概要
TISは、エコキュートと太陽光パネルに関する制御・情報収集システムを提供し、インフォメティスは、その情報に基づいて最適制御(AI)を開発・提供します。
TISはAmazon Fire TV Stickを活用した機器制御技術を保有しており、従来のHEMS(Home Energy Management System)導入に比べて安価に家庭内電気機器を制御できます。インフォメティスの最適制御(AI)を組み合わせることで、家庭用蓄電池やエコキュートなどの低圧リソースの最適制御が可能となり、新しいソリューションを創出します。
TISは脱炭素ソリューションブランド「Carbony」を提供しており、今回の実証実験では「Carbony」シリーズの新サービス提供に向けて制御プラットフォームを構築しています。
インフォメティスは、自社グループのクラウド・データプラットフォームにAIエンジンを構築し、蓄電池、空調、EVなどの統合最適制御サービスを提供しています。今回の実証実験では、エコキュートへの拡張を行い、エコキュートの沸き上げタイミング最適制御のアルゴリズム統合を進めます。
実証実験期間
2024年7月1日~2025年3月31日
今後の展望:低圧リソースの統合制御による新たなサービス創出
TISとインフォメティスは、2026年の低圧リソースの需給調整市場参画を機に、低圧機器デマンドレスポンスサービスの創出を目指します。
さらに、家庭向け蓄電池など複数の低圧リソースを制御することで、電力供給や需要調整を効率化し、電力市場への調整力を生み出す検証を進めます。将来的には、TISの「Carbony」シリーズにVPP(バーチャルパワープラント)プラットフォームを拡張し、調整力の価値向上と新たなサービス創出を通じて社会課題の解決を目指します。
まとめ:エコキュート最適制御による脱炭素化社会への貢献
TISとインフォメティスは、今回の実証実験を通じて、エコキュートの最適制御技術を進化させ、電力効率化と再生可能エネルギー利用拡大に貢献していきます。低圧リソースの統合制御による新たなサービス創出によって、持続可能なエネルギー社会の実現に貢献していくことが期待されます。