2025年版じゃらん観光調査の結果とその影響
株式会社リクルートが提供する観光に関する調査機関『じゃらんリサーチセンター』(JRC)が、全国での宿泊旅行者を対象にした「じゃらん観光国内宿泊旅行調査2025」を実施しました。ここでは、2024年度の国内旅行の動向に関する重要な結果を紹介します。
2024年度の国内宿泊旅行実施率
調査の結果、2024年度に国内宿泊旅行を行った人の割合は49.3%となり、前年(49.5%)とほぼ横ばいを記録しました。特に40代以下の若い世代で旅行実施率が減少している点が目立ちます。また、平均旅行回数も前年比に比べてわずかに減少し、年間平均で2.76回となりました。部分的な減少は見られますが、延べ宿泊旅行者数1億2775万人回、延べ宿泊数2億2308万人泊という推計値も、前年と比べると微減にとどまっています。
宿泊旅行者数の都道府県別傾向
宿泊旅行者数を都道府県別に見ると、最も多かったのは東京都でしたが、増加率では長野県や北海道、新潟県が顕著な成長を見せました。逆に、関東や関西では宿泊者数の減少が顕著で、特に自身の居住ブロック内からの旅行者は大きく減少していることがわかります。
旅行費用の変化
興味深いのは、国内宿泊旅行にかかる費用についてのデータです。2024年度の平均費用は、大人一人当たり6万4,100円となり、旅行費用全体の推計は8兆1867億円に達しました。宿泊旅行実施率は微減したにもかかわらず、旅行費用の上昇が市場を押し上げる要因となっています。
宿泊旅行を行わなかった理由
調査対象者に、なぜ国内宿泊旅行を避けたのか尋ねたところ、最も多かったのは「何となく旅行しないまま過ぎた」と回答した人が26.6%、次いで「旅行に興味がなかった」が23.2%、そして「家計の制約で旅行にお金がかけられなかった」が22.0%でした。このことは、旅行に対する興味や経済的な理由が依然として旅行実施率に影響を与えていることを示しています。
観光業界が直面する課題
ここから見えるのは、国内宿泊旅行実施率は横ばいであるものの、旅行費用の上昇が市場全体に与える影響です。旅行市場の二極化や物価高騰、訪日外国人の増加が間接的に影響していることも一因と考えられます。旅行費用が上昇している一方で、旅行者の満足度は向上していない現実もあります。観光業界では「稼ぐ観光」を見据えた戦略が求められていますが、そのためには地域に実際に何がもたらされるのか、そして旅行者や地域住民の生活にどのような影響を与えるのかを再考すべき時期に来ています。
結論:地域振興の観点からの再考
旅行市場の現状を踏まえると、ただ「稼ぐ観光」を目指すだけではなく、その結果が地域活性化につながっているのか、また地域住民や旅行者が快適に感じられる環境を維持できているのかを見つめ直す必要があります。地域が目指す観光のビジョンを、関係者全員でしっかりと再確認することが、今後の観光振興にとって不可欠です。
調査概要
この調査は、全国の18歳から79歳の男女を対象に、2025年4月1日から22日までの間で実施されました。回収されたデータ数は68,547件で、最終的に有効回答数は15,586件に達しました。
結果の詳細については、
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