登山道の実態調査—全国の「山の守人」に聞く未来への提言
登山者やアウトドアファンにとって、山の環境は非常に重要です。しかし、近年その維持や保全についての課題が浮き彫りになっています。今回、国産アウトドアメーカー「株式会社finetrack」が実施した調査では、全国の整備団体や山小屋から得た貴重な意見が集まりました。これにより、登山道の現状や将来の危機が明らかにされ、その結果は私たち登山者にも深い関係があることがわかります。
調査の背景
この調査の目的は、登山道の今を理解し、維持や保全を行うために必要な情報を整理すること。そして、登山者にもその現状を伝え、私たちができることを考えるきっかけを提供することです。
調査概要
- - 対象: 国内各地の整備団体や山小屋
- - 期間: 2025年5月9日〜6月12日
- - 方法: インターネットの自社アンケート
- - 回答数: 全国16団体
◆ 調査に参加した団体には、大雪山・山守隊や南アルプス・甲斐駒ヶ岳を守る北杜山守隊などが含まれます。
課題として浮かび上がる現状
調査結果によれば、全団体が登山道の維持や保全に関して「課題がある」と答えています。特に、整備に必要な人員や費用の確保が最大の悩みとして挙げられました。多くの団体では、行政からの資金もあるものの、ほとんどは自主事業で資金を賄っている現状があり、厳しい状況が続いていることがわかります。
また、回答からは、将来的に利用できなくなる登山道の可能性についても懸念されており、「現在は問題ないが、将来に不安」という声が56%を占めました。近い将来に利用できなくなりそうな登山道についても38%、現在利用できないという情報もあったことから、登山者たちにとって危機的な状況であることが明らかになりました。
登山者の行動が鍵に
調査を通じて、「登山者自身が何をすべきか」という質問に対する意見も多く寄せられました。特に求められているのは、「登山道を外れないこと」や「適切な歩き方を心がけること」などの基本的な行動です。また、登山道が崩れている事実をSNS等で発信し、周囲の意識を高めることの重要性も強調されています。ここで注目すべきは、登山者自身の行動次第で環境保護が可能であることです。
整備活動への参加を呼びかけ
また、調査結果からは、登山者に現地での整備活動に参加してほしいという声も多く聞かれました。44%の団体が積極的に参加を促しており、参加することで登山道の現状を体感し、保全の大切さを学ぶチャンスになるとしています。ただし、技術や知識が求められるため、参加のための受け入れ体制を整えることも課題として残っています。
未来に向けた提言
登山道や山の環境を守るためには、単なる利用者から、積極的な守り手への意識の転換が必要です。登山者として、フィールドへの感謝の気持ちを行動に移すことが求められています。参加することで得られる経験や、その過程で触れる自然の美しさは計り知れません。私たちが直面するこの課題を共に乗り越えていきたいと思います。
この調査結果の詳細は、finetrack公式noteで確認できます。興味のある方はぜひチェックしてみてください。今後の登山シーズンを迎えるにあたって、山をより良い環境で楽しむための参考にしていただければ幸いです。
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