幻の国史教科書が現代に蘇る
2021年に発行された『復刻版・高等科国史』が、注目の増刷を迎えました。この書籍は、第二次世界大戦中の国民学校における高等科の学生向けに作成された国史教科書であり、発行から76年の時を経て再び我々の前に姿を現しました。また、本書は戦中の教育制度の一環でありながら、実際には一巻は未使用、二巻は発行されなかった、まさに「幻の教科書」と言えます。
教育の変遷と本書の意義
本書には、日本が本当の「日本」であった時代の教訓や理念が詰まっています。その基本理念は、神代から現代までの精神的連結を重視する皇国史観に基づいています。この考えが形作られる中で、本書は当時の国民に教育され、強化された価値観がどのように形成されていったのかを考えさせる一助となります。
特に、昭和19年のレイテ沖海戦に関する記述は興味深いものです。本書では、初めて組織化された神風特別攻撃隊の戦果が「驕敵破砕の一撃」と表現されており、国家の存続が危機に瀕しているなかで、我々の先祖はどのようにその困難を乗り越えようとしたのかが示されています。このような歴史的背景は、現代の日本においても非常に重要な知識であり、教訓となることでしょう。
教育の質を考える
当時の高等科は現在の中学1、2年生に相当しますが、本書を読むことで、彼の時代の教育のレベルの高さや、戦後の教育がどのように変化してしまったのかを考えさせられます。若い世代に教育された内容の意義を再認識し、一方で現代教育における劣化を感じてしまう部分も少なくありません。
併せて知っておくべき事柄
『復刻版初等科国史』をはじめとする既刊の書籍を合わせて読むことで、国史に対する理解がより深まります。国民学校における国史教育は、初等と高等にわたって完結するように構成されており、単独の教材としての役割を果たしつつも、全体の中でどう位置付けられるかを考察することができます。
書籍情報
本書は、文部省によって著作されたA5サイズ、296ページの構成です。ISBNは978-4802401111。定価は1800円(税別)で、ハート出版から発行されています。興味のある方は、
こちらのリンクから購入できます。過去の教育を見つめ直し、未来に活かす資料として、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。