ヒュンダイ、FC EXPOで水素燃料電池技術を展示し未来を見据える

ヒュンダイ、FC EXPOにおける水素燃料電池技術の挑戦

ヒュンダイ自動車が2023年の「FC EXPO」に初めて出展し、同社の水素燃料電池（FC）システムの最新技術を広めるための重要な一歩を踏み出しました。この機会を通じて、ヒュンダイは水素エネルギーの利活用と持続可能なモビリティの未来に向けた取り組みを強化しています。

展示内容のハイライト

展示ブースでは、世界初の移動式水素燃料電池発電機や、鉄道車両・路面電車用燃料電池システム、さらには最長走行距離を誇るSUV型水素電気自動車「NEXO」が注目を集めました。

移動式水素燃料電池発電機

移動式燃料電池発電機は、NEXOに搭載されている燃料電池スタックを2つ組み合わせたもので、サイズは2,800mm×1,500mm×1,100mmと小型ながら高出力（最大160kW）を持ちます。この技術は、商用車のEVバスやトラックに充電するのをより容易にし、さらに過酷な環境下でも電力を提供できる機能を持ち合わせています。これにより、電力インフラが整っていない環境での利用が期待され、ゼロエミッションでのラリーなど新たな挑戦の可能性も広がります。

鉄道車両用燃料電池システム

ヒュンダイの鉄道車両・路面電車用燃料電池システムは、95kWの出力を持ち、62%のエネルギー効率を実現しました。この新しいシステムは、従来のものよりも173mm低く設計されており、550mmという薄さを誇ります。これにより、都市環境に適した静かなLRT（次世代型路面電車システム）としての導入が見込まれています。

ヒュンダイのビジョンと未来展望

ヒュンダイは、2030年までに水素燃料電池システムの年間生産台数を70万台に引き上げる「FC Vision 2030」計画を掲げています。これには、モビリティにとどまらず、フォークリフトやドローン、さらには船舶といった多様な物流手段にも搭載する構想が含まれています。さらに、小型化やコスト競争力の強化を図り、一般消費者向けの製品開発も見据えています。