広島発のカーボンリサイクルプロジェクトが始動
広島県東広島市に本拠を置くプラチナバイオ株式会社(通称、PtBio)は、地元企業との連携を強化し、持続可能な社会への移行を目指して新たなプロジェクトを立ち上げました。この取り組みは、ツネイシカムテックス株式会社、ファイトリピッド・テクノロジーズ、そしてリバネスと協力して進めています。これらの企業は、ツネイシカムテックスの焼却炉から排出される排ガスを活用し、微細藻類「ナンノクロロプシス」の屋外培養モデルを開発し、コスト削減に挑戦しているのです。
プロジェクトの背景
ツネイシカムテックスは、廃棄物処理とリサイクル事業を展開する企業で、環境への配慮を経営の重要なテーマと位置づけています。令和4年度から始まった「広島県カーボンリサイクル関連技術研究開発支援事業」として、微細藻類を使った研究が進められており、これまでの研究成果が積み上がっています。具体的には、焼却炉からの排ガスを用いた実験を通じて、ナンノクロロプシスの培養環境における順化現象や遺伝子的特性が明らかになりました。
実用化に向けてのステップ
本プロジェクトは、実験室レベルから実用化・事業化の段階へとシフトしています。これまでの知見をもとに、未来の燃料や化成品に向けたサプライチェーン全体のコスト革新を目指しています。特に重要なのは、2つの革新的なシステムです。ひとつは、低コストのパネル型屋外培養槽の開発。駐車場や工場のデッドスペースを有効活用することで、効率的に藻類を育てることが可能になります。もうひとつは、ツネイシカムテックスの排出するCO2や未利用元素を栄養源として活用する技術です。
ナンノクロロプシスの可能性
ナンノクロロプシスは海水でも育成可能で、食用油やオメガ3脂肪酸、バイオ燃料などの生産に適しています。将来的には、このプロジェクトを基にして、広島周辺の工場群への応用を考慮しています。
各社の役割
このプロジェクトでは、各企業がそれぞれの専門性を活かし、成功へ向けた役割を担っています。ツネイシカムテックスはプロジェクト全体の統括と藻類の培養を行い、培養槽の設計をリードします。ファイトリピッド・テクノロジーズは、屋外環境に適した培養条件の確立を担当。プラチナバイオは高性能な藻類の開発を進め、リバネスはプロジェクト全体のマネジメントを行います。
環境への貢献と今後の展望
本プロジェクトは、広島県の地元企業の資源を最大限に活用し、廃棄物を資源へと転換する新しいモデルを模索する試みです。これにより地域経済への貢献を目指し、瀬戸内地域における藻類培養の推進を加速させることが期待されています。これからもプロジェクトの進行状況を追い、広島を中心にカーボンリサイクルがどのように発展するかを注視していきたいと思います。
まとめ
このプロジェクトは、持続可能な未来に向けた一歩として非常に重要です。広島から始まったこの試みが、全国、さらには世界に広がっていくことを期待しています。