山手線内側の中古マンション市場に関する調査
近年、東京都の山手線内側、特に都心五区と文京区では中古マンションの価格が急騰しています。この現象について、マンションリサーチ株式会社と一心エステート株式会社が実施した調査の結果を通じて詳しく見ていきましょう。
調査の目的
調査の目的は、山手線内側の中古マンション市場の価格動向を把握し、価格高騰の原因を明らかにすることです。特に、最近の販売期間の短縮と値下げ回数の減少に着目しました。
調査結果の概要
山手線内側の中古マンション価格は、東京都23区全体と比較しても目を見張るような高騰が認められます。平均販売日数は約88日で、これはかなり短い期間です。特に皇居付近や港区、中央区では高騰率が顕著で、周辺地域においても価格状況が非常に活発です。
文京区に関しては、中心部の白山や小石川エリアは期待されたほどの活況を保っていない一方、外側に位置する千駄木・根津エリアや千石・本駒込エリアの方が価格の高騰が顕著です。
中古マンションの平均成約坪単価推移
コロナ禍以降、山手線内側では中古マンションの価格が上昇し続けており、2024年9月には2023年1月比で約30%の高騰が見られました。この数値は、東京都23区全体の約20%を大きく上回るものであり、市場の活発さを反映しています。
販売期間と値下げ回数の分析
さらに、販売期間の短縮とともに、値下げ回数が減少しています。これは、需要が高まりつつあることを示しており、実際には販売者が価格を下げなくても売れるケースが多いためです。この傾向は、山手線内側の市場が特に魅力的であることを示唆しています。
新築マンションの供給状況
また、山手線内側では新築マンションの竣工棟数が2004年をピークに減少しています。これは、開発用地の取得が難しくなってきたためであり、マンション供給が減少する中で流入人口は増えているため、今後も中古マンションの需要は高まることが予想されます。
中古マンション価格高騰率のランキング
具体的な価格高騰率のランキングを見てみると、皇居周辺及び南側の地域では、特に高い価格上昇が見られます。港区や中央区では概ね高騰が見られますが、文京区の一部地域では新たな動向が観察されています。
まとめ
山手線内側の中古マンション市場は、様々な要因が絡み合いながらも価格高騰が続いています。供給が減少する中で、流入人口が増えているため、今後もこの傾向は続くと見込まれています。市場の動向を引き続き注視することが求められます。特に、地域ごとの価格動向には注意が必要です。
筆者プロフィール
高田 一洋(たかだ かずひろ)
一心エステート株式会社 代表取締役
東京都心を中心に不動産業界で活躍中。
福嶋 真司(ふくしましんじ)
マンションリサーチ株式会社 データ事業開発室
不動産市場調査の専門家として、データ分析を手掛けている。