サンダーソフトが展開する未来の車載ソフトウェア技術
2025年5月21日から23日にかけて、横浜で開催された「Automotive Engineering Exposition 2025 YOKOHAMA」。この展示会には、世界を牽引する車載ソフトウェア会社、サンダーソフト株式会社(ThunderSoft)が出展し、次世代スマートカー向けの最新製品を初めて世に送り出しました。特に、日本市場に特化した技術ソリューションは、来場者から非常に高い評価を受けました。
サンダーソフトの企業概要
サンダーソフトは2008年に設立されて以来、インテリジェントオペレーティングシステムやエッジAI技術においてグローバルなリーダーとして成長を遂げています。2015年には深セン証券取引所に上場し、現在は40以上の都市に拠点を持ち、15,000人以上の従業員を擁しています。2013年からは車載分野にも参入し、次世代車両向けのオペレーティングシステム「AquaDrive OS」を中心としたトータルなソリューションを展開。これまでに、5,000万台以上の車両にその技術が採用されています。
日本市場向けの最先端ソリューション
今回は、特に日本の完成車メーカーやサプライヤー向けに開発された先進技術をご紹介することで、多くの関心を集めました。注目すべき製品の一つが、HPC対応型のAIネイティブ車載OS「AquaDrive OS 1.0 Evo」です。これは、Qualcommの第4世代8775プラットフォームを基に設計されたものであり、2025年4月には公式に発表されました。
AquaDrive OS 1.0 Evoの魅力
AquaDrive OS 1.0 Evoは、以下の5つの革新を提供します:
- - 3D HMIによる直感的なユーザーインターフェース:臨場感あふれるデザインで、運転中のやり取りを容易にします。
- - AIによるパーソナライズ機能:エッジ、クラウド、端末の連携によって、運転体験を個別にカスタマイズできます。
- - モジュールアーキテクチャ:異なる領域に跨る機能を効率よく管理し、デザインの自由度を高めます。
- - 安全機能の強化:高精度なセンサーとAIを利用して、車内外の安全性を向上させます。
- - グローバルエコシステムへの対応:量産が容易で、幅広い車両に展開可能です。
同社は、AquaDrive OSが「クルマから HOME まで」を繋ぐスマートライフの基盤となりうると強調しています。
新たな仮想化プラットフォーム
また、サンダーソフトはルネサスエレクトロニクスとも協力し、軽量のZCU仮想化プラットフォームも発表しました。このプラットフォームは、車載電子アーキテクチャの複雑さに対処し、単一ECU上に複数の機能を効率的に統合できるのが特徴です。これにより、設計の簡素化、コスト削減、システムの安定性向上を実現しました。
次世代HMI開発ツール「KanziOne」
HMI(Human-Machine Interface)開発では、統合開発環境「KanziOne」が注目されました。KanziOneは、全プロセスを一括でサポートし、特に以下の2つの製品が紹介されました。
- - Kanzi for MCUs:コストや消費電力に制限のあるMCU環境で高効率な描画を可能にします。
- - Kanzi Author:生成AI技術を駆使して、デザインからコーディングを自動化し、開発スピードを飛躍的に向上させます。
終わりに
サンダーソフトは日本市場に向けて技術的な価値を長期的に提供することに注力し、自動車業界の成長を支援していく考えです。日本のモビリティ産業が世界的にリードし続けるためのパートナーとして、今後の展開に期待が高まります。