革新の質量分析技術
2026-06-01 14:54:00

新技術「8-4重極イオンガイド」が臨床用質量分析に革新をもたらす

日立の革新的な技術


日立とその子会社のハイテク部門は、臨床用質量分析の分野で画期的な技術を開発しました。その名も「8-4重極イオンガイド」です。この技術は、特にホルモンや薬剤などの低分子成分を安定して測定するために重要です。医療現場では、患者の病状把握や適切な治療方法の決定には、こうした成分の正確な測定が欠かせません。

課題と背景


一般的な質量分析では、生体試料の血液を用いて分析を行いますが、低濃度の成分を確実に測定するには、装置の入口から多くのイオンを導入しなければなりません。しかし、入口を広げることで強い気流が発生し、イオンの流れが乱れるという問題が生じます。この温度や周囲の干渉により、装置の内部に到達するイオンの量が減少し、さらには中性分子や帯電した液滴が侵入することで、測定結果信頼性が低下してしまいます。

開発した技術の特徴


被害を軽減する電場制御の導入


日立が開発した「8-4重極イオンガイド」は、強い気流の中でもイオンを取り込みやすくするために電場を活用しています。この電場は八重極領域で効果を発揮し、イオンと気流を分けることで、イオンの流れを安定させ、入口が広くても高い確率でイオンが装置内部に導入されるようにしています。

八重極と四重極間の接続構造の工夫


また、八重極領域と四重極領域をつなぐ部分には、電極の形状が滑らかに変わる接続領域が設けられています。この工夫により、イオンのスムーズな移動を促し、データの信頼性を確保します。

汚染を防ぐための配置


さらに、四重極領域は気流から離れた位置に配置されており、そこに集めたイオンは電場を利用して装置内部に導入されます。この位置関係により、中性分子や帯電液滴の装置内部への侵入を効果的に防ぎ、感度低下を抑制します。

確認された効果


開発した技術による実験では、ガス流量を5 L/minに設定した条件下で、入口のイオン電流が1.8 nAであるのに対し、装置内部で次の真空領域に到達したイオン電流が1.0 nAであったことが確認されました。この透過効率は56%という高い数値を示し、強い気流の中でもイオンを効率よく導入することができることを証明しています。

さらに、実験において1 pg/mLという極めて低い濃度のテストステロンを検出することができ、イオンと帯電液滴の分離も実証されました。これにより装置内部への汚染の侵入を抑制し、長期的な感度維持に貢献することが期待されます。

将来の展望


日立と日立ハイテクは、今後、医療機関や研究機関と連携し、この新しい技術を活用した装置の運用データを解析していく予定です。このデータを基に、臨床医療での長期安定性評価やさらなる技術改良を進めていく考えです。これにより、体外診断の信頼性向上に寄与することができるでしょう。

日立は今後も、医療現場での信頼性向上に向けた技術の開発を続けていき、人々の健康保全とウェルビーイングの向上に努めていきます。


画像1

画像2

会社情報

会社名
株式会社 日立製作所
住所
東京都千代田区丸の内一丁目6番6号
電話番号
03-3258-1111

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。