人手不足倒産が過去最多に
「人手不足倒産」が深刻な問題として浮上しています。2024年に記録された倒産件数は累計342件、前年の260件から約1.3倍の増加を見せ、調査を開始した2013年以降、2年連続で過去最多を更新しました。特に、建設業と物流業が全体の約4割を占め、その影響は業界全体に広がっています。
人手不足の実態
人手不足を感じる企業の割合は2024年12月時点で52.6%に達し、新型コロナウイルスの影響で一時的に緩和した後、急上昇しました。特に「2025年問題」に象徴される高齢化が着実に進んでおり、労働力の減少が懸念されています。
特に深刻な建設業と物流業
2024年の倒産件数の多くは建設業に集中しています。建設業は99件(前年比+8件)、物流業も46件(同+7件)という結果です。これにより、両業種は全体の4割以上を占めることとなり、業界の構造的な問題が浮き彫りになっています。また、飲食・美容・警備業など、他の労働集約型産業でも倒産件数が増加しています。
労働時間の減少と高齢化
建設業の労働時間は減少傾向にあり、毎月勤労統計が示す通り、2024年は出勤日数も減少しています。新たな時間外労働の上限規制が影響し、人手不足が深刻化する中での労働時間の減少は、経営にさらなる難題をもたらしています。
高齢化も避けられない課題です。建設業では60歳以上の労働者が23.9%を占め、物流業でも18.6%に達します。特に50歳以上の割合は物流業で49.5%と、働き手の半数が高齢者という状態となっています。
未来への挑戦
今後、建設業や物流業における労働者数や労働時間が増加する見込みは薄く、人手不足による倒産は今後も続くと予想されます。そのため、省力化や効率化が急務となり、企業は新たな戦略を打ち出す必要があります。
この状況を打開するためには、人材確保のための施策や、労働環境の改善など、それぞれの業界で取り組むべき課題が山積しています。今後、企業はどのようにこの深刻な問題に対処していくのでしょうか。私たちの目は、ますます厳しくなる労働環境を注視し続ける必要があります。