2024年フリーランス実態調査から見えた変化と課題
ランサーズ株式会社は、2024年に実施した「フリーランス実態調査」の結果を発表しました。この調査によると、2024年のフリーランス人口は約1,303万人に達し、経済規模は20兆3,200億円に上ることが明らかになりました。これは過去10年で約40%の成長を示していますが、一方で生成AIの活用の遅れやスキル向上の課題、社会保障の未整備といった深刻な問題も浮き彫りになりました。
フリーランス市場の成長
調査によると、フリーランス人口は10年前と比較して39.1%増加しており、経済規模も38.8%の成長を遂げています。特に、コロナ禍ではリモートワークの普及によりフリーランスの需要が高まった結果、フリーランスという働き方がますます一般的になっています。
フリーランスの収入実態
しかし、フリーランスの収入の実態は厳しく、約7割が年収99万円以下で、そのなかでも「10万円未満」の層が最も多くなっています。収入に対して「満足している」と回答したのは32%にとどまり、多くのフリーランスが収入面での不満を抱えていることが明らかです。この背景には単価への不満や、より高いスキルを求める意欲が存在しています。
働き方の多様性
興味深いことに、働き方の満足度は副業フリーランスが高い傾向にあり、彼らは新たな収入源の確保やスキルを活用することで生活の質が向上しています。収入を得ながらも本業に従事していることが、安心感につながっていると考えられます。
学習意欲とスキルの獲得
約6割のフリーランスが新たに学びたいスキルがあると回答しており、特に20〜30代はデジタルスキルに高い関心を寄せています。対照的に、40代以降は生成AIや外国語に興味を持つ人が多く、スキルアップを通じて市場価値を高めようとする意識が見受けられます。
生成AIの活用状況
しかし、生成AIの活用率は3割以下と低水準で終わっており、約半数のフリーランスは「生成AIに興味がない」と回答しています。生成AIは業務効率化の有力な手段として認識されているにもかかわらず、多くのフリーランスがその潜在能力を活かしきれていないことが懸念されます。
アフターコロナの影響
アフターコロナにおいて、約半数のフリーランスが「変化を感じる」と回答しましたが、その多くは新たな仕事の機会の増加よりも収入の低下を不安視しています。価格競争の激化や生成AIの進展が影響していると考えられます。
経済的不安
さらに、全世代で「年金だけでは生活が難しい」との意識が広がっており、将来に対する経済的な不安を抱える人が多数見受けられます。その一方で、自由な働き方を求める前向きな意識も見られます。
まとめ
今回の調査から、フリーランス市場は長期的に成長を続けているものの、収入の不均等やスキル習得の課題、AI活用の遅れなどの問題が際立っています。フリーランスが持続可能な働き方を確保するためには、企業との協業モデルの築き、報酬の適正化、学びの場の拡充、社会保障の整備が不可欠です。これらの施策を通じて、フリーランス市場がさらなる発展を遂げ、日本経済全体に寄与することが期待されます。