日本超電導応用開発、5億円を調達し未来を切り開く
日本超電導応用開発株式会社(JSA)は、プレシリーズAラウンドにて、UntroD Capital Japanから総額5億円の資金調達を成功させた。この資金を基に、同社は超電導技術の普及に向けた独自の微細化技術を拡大する意向を示している。
超電導技術の重要性
超電導とは、電気抵抗がゼロになる性質を持つ物質のことを指す。この技術により、2050年には世界の発電コストが約1000兆円に達すると予測されている中、10%以上の電力が送電や利用過程での電気抵抗によって失われている。この損失をカバーすることで、より効率的なエネルギー利用が可能になる。
しかし、超電導を実用化するには極低温の環境が必要であり、そのためこれまでの普及は限られた範囲に留まっていた。JSAは、この課題に対し独自の技術を開発し、超電導の利用を容易にすることを目指している。
JSAの革新的な技術
JSAの中核技術は、国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)との共同研究をもとにした、世界最細の超電導線製造技術である。この超電導線はとても細く、しなやかであり、これにより従来の超電導機器が作りやすくなる。例えば、コイルやモータへの巻き線が容易に行えるようになります。また、細いことがもたらすメリットとして、交流損失の大幅な低減も期待される。
さらに、モジュール化されたこのコイルを利用することで、誰もが簡単に超電導を扱えるようになる。このようにして、JSAは超電導技術の裾野を大きく広げる計画を立てている。
多様な応用範囲
JSAは、MgB2という高温超電導材料を利用し、液体水素冷却での超電導を実現することで、様々な分野に応用を広げる意向だ。これにより、ドローンなどのモビリティーでの用途が広がり、可搬重量や航続距離をそれぞれ10倍以上に拡大することが可能。さらに、核融合炉への応用により製造コストを圧縮し、高速プラズマ立上げによる高効率化も視野に入れている。
医療分野では、MRIの省エネと高効率な運用を実現でき、安全で安価な普及型MRIを可能にすると考えられている。加えて、量子コンピュータへの応用では、細い線による熱移動の抑制と高密度配線が実現される。
JSAの未来に向けて
超電導技術の普及を目指すJSAは、今回の資金調達によって研究開発を加速させ、エネルギー、医療、モビリティーなど、多様な領域での活用を目指している。また、共に未来を切り拓く仲間を募集しており、詳しい情報は公式ホームページで確認できる。