オフィスデザインの未来を切り拓くAI技術
株式会社オカムラが、建築設計業務のAIソリューション企業である株式会社テクトムと手を組んで、オフィスの初期設計段階においてAIを駆使した自動生成システム「Work Space Creator」を開発しました。このシステムは、オフィスレイアウトを自動で迅速に生成することで、設計工程を大幅に効率化し、オフィス設計の在り方を根本から変える可能性を秘めています。
背景とシステムの概要
最近、働き方の変化に伴い、オフィスの改装や移転を行う企業が増加しています。このような背景の中、オフィスの空間デザイナーはレイアウト図面を作成し、顧客に提案を行いますが、そのプロセスは複雑になりがちです。特に、案件が増加する中で初期段階の作業にかかる負担が増すことで、本来のデザイン業務に支障をきたすことも少なくありません。
「Work Space Creator」は、オカムラの長年のノウハウとテクトムの建築設計AIプラットフォームを融合させ、オフィス設計の初期段階において、躯体図面を読み込み、席数や用途などの要件を入力することで複数のレイアウト案を自動生成します。このシステムの導入により、オフィスのイメージを迅速に可視化し、顧客とのコミュニケーションが円滑に進められるようになります。
システムの導入とその効果
現在、オカムラでは「Work Space Creator」の試験的な使用を開始しました。このシステムによって得られる最も大きなメリットは、作業時間の短縮です。従来のスケッチやCADを使った作業に比べて、瞬時にオフィスのイメージが提案できるため、顧客との議論を効率的に進めることができます。
さらに、引き続きAIの性能を向上させるための改良も進められており、デザイナーによって異なる基準や配慮ポイントにも柔軟に対応できるシステムへの進化が期待されています。これにより、オフィス設計のプロセスが一層スムーズになり、顧客へより良い提案ができる環境が整いつつあります。
課題と今後の展望
試験使用を経て、顧客からはオフィス施策に関わる立場の方々もプロジェクトに関与することが多くなってきました。このことが、オフィスイメージの可視化の有効性を証明しており、顧客の多様なニーズを把握するのにも役立っています。
しかし、AIの使用感や精度の向上が求められ続けており、システムが全てのデザイナーの満足度を満たすための研究も進められています。特に、デザイン業務における創造性を最大限に引き出せるようなサポートが求められるため、社内での意見収集や改良プロセスを重要視する必要があります。
オカムラの取り組み
オカムラは、40年以上にわたり働き方や働く空間の研究を続け、AIの進化に合わせた活用のチャンスを見極めてきました。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、様々な部門でのDX人財育成プログラムを実施しています。これにより、社員が新しいビジネスアイデアや業務改善を提案できる環境も整備され、オフィスデザインにおける新たな挑戦が可能になっています。
今後も、オフィス設計におけるAIの利活用を一層進め、設計の精度と効率を高めることで、多様化する顧客のニーズに応え続けるとともに、オフィスづくりに革新をもたらすことが期待されています。