グルガオンの路上生活者に関する調査結果
インドのハリヤナ州に位置するグルガオンは、国際企業が進出し都市化が進む一方で、多くの路上生活者が存在します。本調査は、これらの人々が直面する「外部環境が原因で努力できない」という厳しい現実を掘り下げることを目的に行われました。
調査の背景と目的
本調査は、教育の履歴や就業状況、収入、支出、デジタル環境の格差に関する情報を収集し、構造的な貧困の実態を可視化することを目指しています。これにより、努力するための自由が奪われている現状を理解する手助けとなることを期待しています。
調査概要
調査は2025年6月に実施され、主要なストリートや公園周辺で行われました。対象者は30名で、今後200名まで拡大予定です。調査方法は半構造化インタビューと現地観察で進められ、主な項目には教育歴や職業、収入、支出、デジタルデバイスの所有状況が含まれています。
主な調査結果
1. 教育の欠如と機会の喪失
調査対象者30名中、24名(80%)が「非就学」または「初等教育で中退」という驚くべき結果が出ました。中退の理由には、貧困や学校が遠い、家庭の慣習、介護の必要性が挙げられます。このような教育の欠如が、文字の読み書きや数字を理解する能力を欠如させ、さらに情報へのアクセスを制限する結果となっています。
2. 職業選択の制約
多くの路上生活者は「耳掃除」「物乞い」「路上販売(ロープやほうき)」など親の職業を受け継いでおり、自らの選択による職業の選択肢はほとんど存在していません。この現象は「選んだ結果」としてではなく、むしろ「選択肢がなかった結果」と言えるでしょう。
3. 経済的状況とジェンダー格差
調査対象者の平均月収は約13,500INR(約2.4万円)で、食費や生活費、衣類代、家族の小遣いなどが支出の主な内訳となっています。特に多くの女性が無収入で、夫や父親に依存している現状から、彼女たちの経済的自立はほぼ達成されていないことがわかります。
4. デジタル格差
スマートフォンの保有率は30%以下であり、SNSや給付制度、教育コンテンツへのアクセスはほとんどない状態です。この情報格差が努力を始めるための「スタート地点」すら奪っています。
結び手の考察
この調査を通じて私たちが直面したのは、単なる「貧困の記録」ではなく、努力の自由さえ奪われている人々の現実です。教育の欠如は偶然ではなく、社会構造によるものです。情報にアクセスできないことが、もっとも大きな壁となり、人生の方向性を決定づけてしまっています。
今後の展望
教育格差とデジタル格差を可視化し、優先的に支援すべき地域を選定します。また、日本とインドの大学との共同研究体制を構築し、AI分析を活用したアプローチを強化していく予定です。政府や企業とも連携して、データベースを社会に還元していきます。
結び手からのメッセージ
「このデータの先には顔があります。努力したくてもできない人々の尊厳を守りたい。」このレポートが真に機会のある社会を目指す第一歩となることを願っています。調査に関するお問い合わせは公式HPをご覧ください。