無人機が成層圏を飛行する未来へ
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、無人機(ドローン)が成層圏で長時間飛行する技術を開発中です。この取り組みは、経済安全保障重要技術育成プログラムの一環として推進されています。このプログラムは日本政府が、国家間の競争が激化する中で技術的な優位性を確保するために、先端技術の研究開発を戦略的にサポートするものです。
高高度プラットフォームについての理解
高高度プラットフォーム(HAPS)は、成層圏において通信を提供するための新しい手段です。日本の周辺海域において継続的な海洋状況把握(MDA)を実現するためには、無人機が高緯度地域を通年で飛行することが求められます。そのためには、特に冬季の日照時間が短い時期でも安定して運航できる動力源が欠かせません。
本事業では、高エネルギー密度蓄電池と高効率の太陽光パネルを搭載した無人機が方法論として採用されます。これにより、無人機が成層圏で行うセンシングがより効果的になります。
研究開発の背景
科学技術が国家間の覇権争いの中心となる中、日本は独自の技術を育成し、国際的な地位を高める必要があります。そのため、経済産業省や各府省が連携して経済安全保障を強化するためのプログラムが設立されました。特に、民生利用と公的利用が両立する技術の開発が重要視されています。
このプログラムはNEDOの基金により支えられており、研究開発から実証までを迅速かつ効果的に進める枠組みを整えています。
事業の具体的な進行状況
進行中の事業は、2つの研究開発項目に分かれています。1つ目は海洋状況把握技術に関する研究開発、2つ目は高高度無人機の長期航行技術です。最新の進捗として、2024年度にはフィジビリティスタディが行われ、HAPSを用いたセンシング技術の実証を目指しています。
現在進められている二番目の研究開発フェーズでは、安全性、耐環境性、軽量化に寄与するモジュール化技術の開発が進行中です。この調査結果を基に、高エネルギー密度蓄電池及び高効率太陽光パネルの技術開発が着手されます。これにより、将来的には商用化へもつなげていく考えです。
結論と今後の展望
このプロジェクトを通じて、無人機が成層圏での長期運航を可能にし、海洋の安全性強化や産業発展に寄与することが期待されています。今後もNEDOは、海洋状況の把握に特化した技術を開発し続け、国と地域の安全保障のための貢献を果たしていくでしょう。