つながりAIが新たな相談窓口「こどもと親のミカタAI」を導入
つながりAI株式会社が、子どもと保護者を対象とした相談AI「こどもと親のミカタAI」の実証実験を2025年12月15日より開始すると発表しました。この取り組みは、自治体と協力して進められ、子育て中の家庭に対する新たな支援の形を示します。
背景
近年、子どもの自殺や虐待の問題が深刻化しています。2024年には小中高校生の自殺者数が過去最多を記録し、10代の子どもにとって自殺は最も多い死因となっています。元々、いじめや学業のストレス、家庭内の問題などを抱える子どもたちが多く、これらの悩みを一人で抱え込むことが多いのが現状です。加えて、2024年度のいじめに関する認知件数も過去最高となっており、緊急性が増しています。
また、児童虐待に関しても約22万件の相談が寄せられ、統計的には30年前の約200倍に増加しています。家庭の状況や社会の変化によって、親たちが孤独感を抱えやすくなっています。ここにきて、子育ての悩みを気軽に相談できる環境が求められています。
AIによる支援の導入
つながりAIが提供する「こどもと親のミカタAI」は、LINEを通じて利用できるAIによる新しい相談窓口です。このAI、通称「AI(あい)ちゃん」は、子どもたちが日常的な雑談から深刻な悩みまでを相談できるように設計されています。また、保護者も利用でき、必要に応じて専門職相談員につなげる仕組みがあります。
この新しいアプローチによって、親たちは24時間365日いつでも相談することができ、在宅での不安や悩みを気軽に相談できます。深夜の育児中や子どもが学校での問題で心を痛めている時間帯でも、AIは真摯に寄り添ってくれるのです。
匿名性の重要性
「このようなことを相談してもいいのか」と思う気持ちから、電話相談を避ける中高生も多いですが、AIを利用することで匿名性と心理的安全性が提供され、これによりより多くの人々がサポートを受けられるようになることが期待されます。
過去に行われた他の自治体での実証試験では、従来の相談窓口ではつながりが薄かった住民が行政と連携できるケースが増えていました。この「こどもと親のミカタAI」も同様の成果を生むことが期待されています。
将来の展望
「つながりAI」は、AIを人間の代替とみなすのではなく、「つながりの入り口」として位置付けています。相談者の不安を受け止めた上で、専門の支援を必要な人にしっかり届けることができるようになることで、孤立感の軽減が図られます。
今回の実証実験では、「AIちゃん」を保護者や子どもが一つの入口から利用できるようにしており、両者のニーズに応えられる点が特徴です。これは、より良い社会を実現するために重要な第一歩といえるでしょう。
実証実験を通じて、今後は全国の自治体と協力し、より多くの地域で「こどもと親のミカタAI」を広げていく計画が進んでいます。子どもの自殺やいじめなどの問題に関心を持つ自治体からの協力も期待されているため、多くの地域でこのAI技術が役立つことになるでしょう。
会社紹介
つながりAI株式会社は、東京都港区に拠点を置くスタートアップで、AI技術を活用して社会課題の解決に寄与する事業を展開しています。相談支援サービスの新しい形や孤独・孤立の問題に向き合いながら、多くの人とつながりを持てる社会を目指しています。すでに確立されたサービスは、これからの社会にとって必要不可欠なものとなるでしょう。