日本の未来を切り拓く「富岳NEXT」
2023年8月22日、東京で「富岳NEXT」の開発がスタート。理化学研究所が富士通とNVIDIAとタッグを組み、次世代スーパーコンピューターのプロジェクトを発表しました。このプロジェクトは、単なる計算速度の向上を目指すだけでなく、科学と技術の融合による新しいシステムの構築を重視しています。
「富岳NEXT」の誕生背景
「富岳NEXT」の開発は、日本の次世代スーパーコンピューターとして、富岳の後継機に位置づけられています。理化学研究所のリーダーたちは、科学技術の急速な発展に対応するためのアプローチを再考し、現実のニーズに対処する技術を模索しています。富士通やNVIDIAとのパートナーシップを通じて、彼らはシステムのアーキテクチャを共同で設計し、地球環境や自然災害への対応、創薬、先端製造など日本の重大な研究課題の解決を目指します。
この発表は、日本がAI技術の推進に力を入れていることを示す重要なステップです。理化学研究所理事長の五神真氏が挨拶し、同日の式典で松岡聡氏がHPCの第一人者としてのビジョンを語りました。
国際的なコラボレーションの強み
富士通の技術担当副社長であるヴィヴェック・マハジャン氏が発表したように、これは日本のコンピューティング能力を向上させるだけでなく、国際的な技術交流の強化にも寄与するとされています。NVIDIAからはイアン・バック氏が出席し、共同設計の重要性と可能性について語りました。
ジェンスン・フアンCEOが日本訪問時に述べたように、今がAI技術を日本で構築する絶好のチャンスです。この機運は既に高まりを見せており、富岳NEXTの開発もその一環です。日本の技術革新は、国際社会においても大きな注目と期待が寄せられています。
富岳NEXTのシステム設計
「富岳NEXT」はハイブリッドなAI-HPCシステムであり、富士通のFUJITSU-MONAKA-X CPUを活用し、NVIDIAの最新技術NVLink Fusionによって、今までの技術では実現できなかった高帯域幅での接続を実現します。システムはスピード、スケール、効率性を重視し、科学研究や製造業、地球システムモデリングなど、多岐にわたる分野での活用が期待されます。
特に、科学研究においては、ニューラルネットワークを利用した高効率なシミュレーションが可能になります。製造業ではAIによる設計最適化ができ、自然災害への備えとして気象予報の精度向上にも寄与します。これは、未来の技術の形を大きく変えるかもしれません。
日本のスーパーコンピューティングの未来
「富岳NEXT」の開発は、単なるテクノロジーの更新にとどまらず、日本の科学と技術の未来への投資でもあります。文部科学省の支援を受け、全国の大学や政府機関、産業界と連携し、その成果を広く提供していく方針です。
日本のスーパーコンピュータが誇る技術と知識が結集した「富岳NEXT」は、新たな科学の時代の幕開けを象徴しています。このプロジェクトは、リーダーシップや国際的な協力の重要性を再確認させ、未来の科学技術への道を切り開くものとなるでしょう。