円空展330年の祈りと彫刻の魅力
江戸時代初期の1632年、美濃国に生まれた円空。彼は32歳で出家し、64歳で亡くなるまでの30年間に、日本各地を巡って約12万体の像を彫り続けました。今もなお、多くの人々にその作品が伝わっており、確認されているだけで5,400体以上が存在します。本展では、円空の没後330年を祝し、現在も語り継がれている円空像の中から、特に優れた作品を厳選し関西エリアで初めて公開します。
本展は、円空の思想と信仰の変遷を追うため、二つの重要なテーマで構成されています。ひとつは、彼の若い頃の信念、すなわち「上求菩提」。これは、自己の悟りを求め続ける姿勢を表しており、32歳から47歳までの成長を反映しています。続いて、「下化衆生」は、彼の晩年における庶民への救済を目指した思想を示しています。48歳以降は、より多くの人々を仏の道へ導こうとする姿勢が強まっていったのです。
この二つの側面を通じて、円空がどのようにして多様な祈りの姿を生み出したのか、そのプロセスを体感することができます。特に彼が使用した技法である彫刻の手法も注目ポイントです。彫り進める中で表現される祈りの形は、単なる作品としての美しさだけでなく、霊的な意味も兼ね備えています。
イベント情報
さらに、ギャラリー・トークも予定されています。このトークは、円空学会の理事長である小島梯次氏が監修を担当し、円空の生涯や作品についての洞察を直接聞ける貴重な機会となっています。
- - 会場: 美術館「えき」KYOTO
- - 日時: 2025年8月30日(土)、9月7日(日)
1. 10:30~
2. 14:00~
- - 各回約45分。事前の申し込みは不要ですので、当日、美術館の入館券をもって参加してください。
なお、会場の混雑具合によっては入館制限がされる場合もありますので、余裕を持って訪れることをおすすめします。
開催概要
本展は、2025年8月30日から10月6日までの間、美術館「えき」KYOTOで開催されます。会期中は毎日開館し、開館時間は午前10時から午後7時30分までとなっています。入場料金は一般1,200円、高・大学生1,000円、小・中学生500円です。前売券も販売されるため、事前の購入を検討してください。
円空の作品とその思いに触れることで、彼の生涯が持つ深い意味合いや日本文化の一端を感じることができるでしょう。美術館公式ホームページで最新情報をチェックし、ぜひ足を運んでみてください。
円空が残した作品の奥深さを、一人でも多くの方に感じていただけることを願っています。