日本政府のSDGs進捗レビューが報告、課題と展望が浮き彫りに
2023年7月14日から25日にかけて、ニューヨークで開催された「持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム」(HLPF)にて、日本政府による3回目の自発的国別レビュー(VNR)が実施されました。今回は「誰一人取り残されない」社会を目指し、国連へSDGsの進捗状況が報告されました。このレビューには、様々なステークホルダーが参加し、多様な意見が集まりました。
SDGsジャパンの歓迎声明
SDGs市民社会ネットワーク(通称SDGsジャパン)が発表したステートメントでは、包摂社会の実現に向けた政策の重要性や、多国間主義の堅持が強調されました。共同代表の三輪敦子氏は、現状のSDGsに対する危機感を持ちつつも、国連創設80年を迎えるこの重要な年におけるVNRの位置づけを再評価し、「信頼と連帯」の構築に向けた前進を願う考えを示しました。
日本におけるSDGsの積極的な取り組み
今回のVNRでは、多岐にわたるテーマの中で、特に教育、環境、貧困などの分野において、実績が報告されました。しかし、具体的な成果に対してのエビデンスが不足している点も指摘されており、今後の改善が期待されています。特に、デジタル分野における倫理的問題や課題に対しても焦点が当てられました。
地域の課題解決への取り組みとしては、「地方創生SDGs」の実践が紹介され、富山県の独自の「ウェルビーイング指標」の作成に見るように、多様な地域からのアプローチが注目されています。これにより、日本のSDGsの実施の質が向上することが期待されています。
ステークホルダーからの多様な意見
各ユニットからのコメントも充実しており、特に貧困ユニットからは、食料支援が増えている現状が報告されました。また、教育ユニットからは、教育の重要性や、インクルーシブな学びの推進に向けた施策についての評価がされました。一方で、具体的なデータや指標の公開を通じて、より透明性のある報告が求められました。
課題と未来の展望
VNRからは、SDGsにおける「ジェンダー平等」や「不平等の克服」がいかに重要であるかが再確認されました。しかし、これらの目標達成には、取り残された人々や声を届けられない方々の状況が反映されることが必要です。特に、交差性の視点が重要で、不平等や差別を乗り越えるための適切な政策の形成が求められています。
今後、日本のSDGsに対する取り組みが進む中、課題を共有し、解決に向けた歩みを進めることが私たちに求められています。三輪氏の言葉を借りれば、「光を求め、展望を拓く」ことが重要です。
まとめ
今回の自発的国別レビューは、日本政府のSDGs達成に向けた深い考察を促す機会となりました。課題は山積しているものの、関係者が共に取り組む姿勢を持つことで、持続可能な未来への道を切り拓くことができると信じています。