煮干しの安定供給を目指した新技術
原材料の変動と課題
煮干しの主要原料であるカタクチイワシとマイワシは、環境の変化や漁業の影響を受けて、その資源量が周期的に変動します。特に、レジームシフトと呼ばれる数十年ごとの魚種交替が大きな要因とされ、例えば海水温の上昇時にはカタクチイワシが増え、寒冷期にはマイワシが多く獲れる傾向があります。このため、煮干し市場は常に原料の供給に影響を受けています。
昨今ではカタクチイワシの資源量が減少する一方で、マイワシの資源量が増えています。この変動は、煮干し製造において大きな課題を生じさせています。
新たな製法の開発
これまで、マイワシはその高い脂質含量により、煮干しとして利用が難しいとされていました。しかし、株式会社ヒカリッチフードサイエンスは新しい製法を開発し、食品用途として認められた有機溶剤を用いて、マイワシから脂質を除去する脱脂処理を行うことに成功しました。この方法により、脂質によって風味が損なわれることなく、うま味が際立つ煮干しを効率的に製造することが可能となります。
この新製法により、原料の含油量に制限されることがなくなり、安定的に煮干しを供給できる体制が整いました。これにより、魚種交替に適応した持続可能な煮干しの供給が期待されています。
商用化への道
現在、株式会社ヒカリッチフードサイエンスは、この新しい煮干し製法の商用化に向けた取り組みを進めており、最新情報を同社の公式ウェブサイトで随時発表する予定です。また、同社は今後も資源の変動に対応しながら、水産資源を持続的に利用するための研究を継続していく方針です。
会社概要
株式会社ヒカリッチフードサイエンスは、2023年8月に設立され、東京都中央区に本社を構えています。代表取締役の髙橋夕佳氏が率いる同社は、水産加工技術の研究開発を行っており、煮干しや焼きあごなどのだし材料の製造、さらには水産加工品の企画や販売を手掛けている会社です。
お問い合わせ
煮干し製品や新製法に関心がある方は、株式会社ヒカリッチフードサイエンスまでご連絡ください。
持続可能な水産業の実現に向けた同社の取り組みは、今後も多くの注目を集めることでしょう。