熟練者の技能をロボットに継承する新技術
株式会社アトラックラボは、埼玉県の三芳町に本社を置き、熟練作業者の手技をロボットに学習させる技術の開発を開始しました。この新技術は、「模倣学習」と呼ばれる手法とVLM(Vision Language Model)を融合させ、熟練者の動作と彼らの判断をロボットへ伝えるものです。
熟練者の技術をデジタル化
製造業や建設業、さらには農業など、様々な分野では、熟練者が長年にわたって培った技術やノウハウが存在しています。それらは、単にマニュアルや数値では伝えることができず、実際の動作や言葉、さらにはその場での判断に依存しています。アトラックラボは、熟練者が行う動作に加え、作業中の発話や判断理由も同時に記録し、それを学習データとして活用しています。
模倣学習とVLMの組み合わせ
この技術の核心は、熟練者の「動き」と「言葉」を一緒に学ぶ点にあります。具体的には、熟練者が作業を行う際のカメラ映像、関節位置、速度、力、トルクといったデータを取得し、さらには熟練者の音声も録音します。例えば、「最初は軽く当てて位置を決める」といった具体的な指示が含まれます。これにより、動作そのものを模倣するだけでなく、その動作が必要とされる条件や意図をも理解することを目指しています。
DAggerを取り入れた進化
さらに、アトラックラボはDAgger(Dataset Aggregation)の手法も取り入れています。ロボットが実際の作業やシミュレーションを行い、その際に迷った場面に対して熟練者が適切な行動を教えることで、ロボットの学習を継続的に深めていきます。このプロセスによって、失敗しやすい状況に対する応答力を高め、現場への適応能力を強化することが可能となります。
熟練技能の複雑さを克服
熟練者による技能は、単に動作の再現だけではなく、実際の作業では状況に応じて判断を行います。アトラックラボの技術では、対象物の状態を捉えるためにVLMを活用し、その情報を熟練者の言葉、ロボットの動作、力覚データと絡めて学習します。これにより、作業者が「この状態だから、この動作を選ぶ」といった判断の根拠をロボットに教えることができます。
未来の技能継承へ向けて
アトラックラボの代表取締役、伊豆智幸氏は、「言葉では伝えにくい身体的な技能は動作から、経験による判断やコツは言葉から、作業対象の状態はVLMから、そして予期しない状況からの立て直し方は熟練者の追加指導から学ぶという仕組みを構築することで、より現場に近い技能継承が可能になると考えています」と述べています。このように、同社は「Physical AI」として、長年の経験から得た技能や知識をロボットへと継承することを目指しています。
株式会社アトラックラボについて
アトラックラボは、UGV(無人地上車両)、UAV(無人航空機)、USV(無人水上艇)などの無人機とロボットシステムの研究開発を行っています。今後、製造業や建設業など、様々な現場での利用を見据えたロボットシステムの開発に注力していく予定です。
詳しい情報は、アトラックラボの公式ウェブサイト
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