植物シグナル分子の解析技術が開く新たな扉
植物が作り出すシグナル分子の一つ、ストリゴラクトン(SL)。枝分かれを抑制するなど多様な機能を持つこの化合物の働きについて、明治大学の研究グループが新たな解析技術を開発しました。これにより、SLの機能やその受容体の挙動を簡便に測定することが可能になったのです。
研究の背景と重要性
ストリゴラクトンは、植物が環境に応じてさまざまなシグナルを送る重要なホルモンですが、その詳細なメカニズムは未だ謎に包まれています。特に、SLがどのように働き、どのように植物や微生物と相互作用するのかを解明することは、多くの研究者にとっての課題でした。
研究成果の概要
明治大学の西山助教らのチームは、理化学研究所やアメリカのソーク研究所、東京理科大学、横浜市立大学などとの連携を通じて、SLやその受容体タンパク質の機能を定量的に解析できる新技術を確立しました。この技術により、SLがどれだけ効果を発揮するのか、どのように作用するのかを、シンプルな操作で迅速に確認することが可能になりました。
特に、時間分解Förster共鳴エネルギー移動(TR-FRET)技術を利用することで、SLの受容体との相互作用をリアルタイムで追跡できるようになりました。これまで難しかった一対一のタンパク質間相互作用を定量化し、さらにはSLが根から放出される他の化合物との関係性を探るセンシング技術にも応用できたのです。
技術の詳細と研究方法
この新手法は、SL受容体に蛍光タンパク質を結合し、相互作用を示す場合に発光する仕組みを基にしています。具体的には、SL受容体にmEGFPを融合させ、MAX2やSMAX1/SMXLを発光性テルビウム錯体で標識。この二つのタンパク質が近接すると蛍光が変化し、それを測定することで相互作用を可視化します。
また、TR-FRETの特性を活かし、気になる混合物の中のSLを選別的に検出する方法を確立。これにより、根から放出された化学物質中からSLを見つけ出すことができました。
今後への期待
この成果は、植物科学の分野における理解を深める上で大きな意味を持つとともに、農業分野にも広がる可能性を秘めています。この技術により、SLの新たな機能を発見したり、効果的な農薬の開発につながる化合物探索が進むことが期待されます。また、どのように多様な植物ホルモンが相互に作用し、植物の成長や環境への適応に寄与しているかを理解するための手法として、TR-FRET解析が広く普及することも見込まれます。
本研究は、様々な科学基金や財団の支援により進められており、今後も植物科学のフロンティアを切り拓いていくことでしょう。