新しい都市のフードシステムの提案
東京・清澄白河に、食とアートが交錯する新たなコミュニティスペース、〈KINOKO SOCIAL CLUB〉がオープンしました。この施設は、廃棄のコーヒーかすを活用してキノコを栽培・調理するカフェとファクトリーとして機能します。
地元の資源を最大限に活用
〈KINOKO SOCIAL CLUB〉は、地域のコーヒーショップと連携し、日常的に廃棄されているコーヒーかすを集めて新たな価値を生み出します。回収したコーヒーかすは、菌床を作り、その上でキノコを育成。収穫後は、そのキノコを店内でおいしく調理し、お客様に提供します。さらに使用済みの廃菌床は、地域の都市農園へ戻され、土壌改良剤として活用されます。これにより、食の循環が可能になり、地域の環境改善にも寄与しています。
このような循環型の取り組みは、都市におけるゴミ問題の解決や、食糧生産の観点でも非常に重要です。特に、気候変動や生産人口の減少という現代の課題に対して、都市そのものが生産も行えるモデルとしての役割を果たすことが求められています。
文化と共に育む新しい食文化
清澄白河は、もともと工場地帯として知られる場所であり、近年は“コーヒーとアートのまち”として注目を集めています。この地域の特性を生かし、食文化の磨きをかけるため、ワークショップやアートイベント、勉強会などを通じて地域コミュニティを強化し、都市の新たな文化を創出することを目指しています。
提携企業と共に築く持続可能な未来
このプロジェクトには、さまざまな企業や団体が参加しており、地域全体での持続可能な食文化の構築を目指しています。例えば、清澄白河に拠点を置く自転車ブランド『tokyo bike』と提携し、コーヒーかすを収集するためのオリジナルデザインの自転車を使用しています。
また、エプロンの制作においては、山道具メーカー『山と道』と協力し、余った生地を利用してアップサイクルしたものを使っています。これらの取り組みは、単なるビジネスモデルにとどまらず、地域のつながりを強化し、持続可能な未来を築くための重要な一歩となっています。
食の枠を超えた体験を提供
〈KINOKO SOCIAL CLUB〉では、キノコをテーマにした料理も特徴的です。世界のシェフたちと共同で、まだ体験したことのないキノコの美味しさを探求する「キノコ・ファスト・フード」を展開。レギュラーメニューには、キノコ料理の他にも多種多様な飲食メニューが揃っており、訪れる人々を楽しませています。
メニューには、
- - KSCセット
- - ビッグマッシュ・フライドポテト・スープ
- - いろいろキノコのフリット
- - 発酵紅茶
などがあり、全てのメニューには地元で栽培された新鮮なキノコが使用されています。これにより、ただ単に料理を楽しむだけではなく、地産地消の重要性を再認識できる機会を提供しています。
終わりに
このように、〈KINOKO SOCIAL CLUB〉は都市の新しいフードシステムを体現する場として、地域の活性化を図ると共に、持続可能な未来を構築するための取り組みを進めています。今後、さらなる活動が期待されるこのプロジェクトには、ぜひ注目していきたいところです。