孤島楽器化計画
2022-08-17 18:53:34
未完の音楽計画「Island Eye Island Ear」が札幌で再び蘇る
未完の音楽計画が札幌で再考される
半世紀以上前、音楽家のデーヴィッド・チュードアと芸術家の中谷芙二子が構想した、幻のコンサート計画《Island Eye Island Ear》(IEIE)の再考が、札幌で始まります。このプロジェクトは、1974年に提案された「孤島をまるごと楽器化する」という大胆なアイデアに基づいており、既に音楽の枠を超えた芸術的実験として注目されています。
IEIEの背景と理念
IEIEはスウェーデンの孤島全体を楽器に変えるという革新的なコンセプトを掲げていました。サウンドビームや霧、凧を駆使して、自然を音として表現し「島の風景を音楽化する」ことを目指しました。しかし、この計画は未だ実現されておらず、現代を生きる私たちに新たな視点をもたらしてくれる存在です。
現代に蘇る幻の作品
今回の「Side Effects 2022-2024」は、IEIEの実現可能性を探求するアートプロジェクトの一環です。特に札幌のモエレ沼公園を実験の場として選び、1974年にチュードアが考案したサウンドビームに基づく実験が行われます。この公開実験では、当時のパラボリックアンテナに加え、現代技術を駆使したパラメトリックスピーカーも使用されます。
実験概要
公開実験は2022年8月21日(日)に行われ、午前9時から午後3時まで見学が自由です。ここでは、参加者が音の体験を通じて、自然の一部に成り得る音楽の可能性を感じることができます。また、モエレ沼公園での実験では、周囲の音響環境を活用し、サウンドビームの理論と実践を直に体感することが可能です。
◇ 会場:モエレ沼公園(札幌市東区モエレ沼公園1-1)
◇ 問い合わせ:札幌国際芸術祭実行委員会事務局(TEL 011-211-2314)
複合的な展示空間
さらに、2022年8月28日から9月4日まで、札幌文化芸術交流センターSCARTSで「IEIEクロニクル」と題した展示も行われます。この展示では、公開実験で収録された音を再生するとともに、IEIEがどのような歴史を辿ってきたのか、またその活動を通じで出会った人々や物についても情報を共有します。
展示の詳細
展覧会は、毎日午前11時から午後7時まで入場無料で楽しむことができます。これにより、訪れる人々はIEIEの意義を多角的に捉えることができるでしょう。
◇ 会場:SCARTSモールC(札幌市民交流プラザ 2F)
◇ 問い合わせ:SCARTS(TEL: 011-271-1955)
新たな芸術の場を創る
このアートプロジェクトは、札幌国際芸術祭実行委員会や北海道大学といった団体の支援を受けて実施されています。当時の先見の明を持ったアーティストたちの試みが、新しい世代によって再解釈され、札幌の地でさらに深い意味を持つようになることが期待されています。今後の展開に目が離せません。
このプロジェクトは、ただのアート展示ではなく、音楽と自然との関係を再考し、私たちの感性を刺激する貴重な機会となることでしょう。
会社情報
- 会社名
-
公益財団法人札幌市芸術文化財団
- 住所
- 札幌市南区芸術の森2丁目75番地
- 電話番号
-
011-592-5111