国産小型AUVが洋上風力発電の維持管理に貢献
株式会社FullDepthは、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」において、東京大学と海上・港湾・航空技術研究所と連携し、国産小型AUV(自律型無人潜水機)の実海域での実証試験に成功しました。この地上波圧式のドローン技術は、特に洋上風力発電の維持管理(O&M)を支援するために設計されています。
洋上風力発電の現状と課題
将来的な主力電源として期待される洋上風力発電ですが、その維持管理においては海底ケーブルの点検や潜水士の不足、さらには運用コストが大きな課題となっています。特に、専用船の運用には莫大なコストがかかるため、効率的かつ低コストで行える手法が求められていました。
FullDepthの革新
FullDepthはこの課題を解決するため、自社の水中ドローン開発で得た知見を活かし、2名で持ち運べるコンパクトなパイロットモデルを開発しました。この機体は、クレーンを使用することなく簡単に投入・回収ができるという特長を有しています。
実海域実証試験の概要
実証試験は神奈川県平塚沖の水深20mで行われ、以下のポイントが検証されました。
1.
高精度な自律航行: 準天頂衛星「みちびき」によるGNSS測位を利用し、位置誤差を補正。高額な慣性航法装置を用いることなく、正確な航路を辿ることができました。
2.
運用の柔軟性: 船上から操作する「ROVモード」と、テザーケーブルのない「AUVモード」の両方での試験によって、さまざまな航行パターンが実証されました。
3.
実用性の高い運用性能: カセット式バッテリーを採用することで、船上での迅速な交換が可能となり、運用効率が飛躍的に向上。
このように、FullDepthの開発した国産小型モジュール型AUVは、社会的課題を解決するために様々な先進的な機能を備えています。
特徴と利便性
当社のAUVは、以下の4つの特長を有しています。
- - 特別な設備不要: 重量は59kgで、大人二人で持ち運びが可能。これにより、設備投資を大幅に削減できます。
- - コスト優位性: 従来の大型システムと比べ、導入・運用コストを抑え、効率的な点検が可能です。
- - 自動航行の実現: 海底を自己意志で航行するため、人手が不要になり、少人数による運用を実現しました。
- - モジュール化と拡張性: 必要に応じて、イメージングソナーなどの装置を換装・アップグレードできる柔軟性を持っています。
このAUVは、上部アンテナ部が和装時の烏帽子に似ていることや、湘南・平塚沖での実海域運用が始まったことから「えぼし」と名付けられました。
今後の展望
将来的には、MS&ADインシュアランスグループとの連携による点検サービスにこのAUVを適用し、さらなる無人化・効率化を目指します。また、水中ドローンによる海底マッピングや状態確認サービスの提供も計画されています。
FullDepthは水中ロボティクス技術の開発を進め、洋上風力発電における社会実装を加速させ、持続可能な海洋インフラの構築に貢献していく考えです。この成果が将来の電力供給に寄与することを願っています。