終活の現状とこれから
日本には、終活という言葉が定着し、多くの人が「終活は必要」と感じているのは事実です。しかし、実際にそれに取り組む人は限られていることが、株式会社朝日新聞社が運営する「朝日新聞Reライフプロジェクト」の調査によって明らかになりました。
調査の概要
この調査は、50代以上をターゲットとするコミュニティ「読者会議」のメンバーからの1,549件の回答を基に行われました。実施期間は5月から6月の約1ヶ月間で、生活の後半を自分らしく生きようとする「Reライフ読者会議メンバー」にその実態を尋ねました。
結果の分析
驚くべきことに、96%が「終活は必要」と思っているものの、実際に取り組んでいるのは約38%。さらに45%近くは「いつか取り組むつもり」と答えたことから、多くの人が意識はしているものの、実行に移せていないことがわかります。これから終活を始める予定の人を含めると、全体の57%が何らかの形で終活に関心を持っているという結果が出ました。
家族との対話の欠如
意外なのは、終活について家族と話し合ったことがある人が43.6%と、思ったより少数派である点です。実際に終活を進めている人でも、その割合は67.5%に留まります。このことから、家族との対話が不可欠な終活の重要性が認識されていないことが浮き彫りとなっています。
具体的な取り組み内容
調査によると、多くの人が「家の荷物整理や不用品処分」に取り組むことが多いと答えています。これは71.7%にものぼり、次いで「金融口座の整理」が58.4%の支持を得ています。財産の整備といった金銭面への準備を行う人が多いことも見逃せません。
なぜ終活をするのか
この調査で最も多かったのは「遺される家族に迷惑をかけないため」という回答で、これが84.3%を占めていました。「病気や怪我などの際のために」と回答する人も多く、終活が自己のためというより、家族に対する配慮であることが分かります。
自由回答の声
設問への自由回答では、さまざまな意見が寄せられました。80代の女性は「残された時間を自分のために使いたい」と語り、健康であることが何よりも重要だと強調しています。一方で、終活を始める予定はないと答えた60代の女性は、終活を考えることで死を意識せざるを得なくなると述べました。これに対して別の60代男性は、両親の終活不足からの困難な経験を踏まえ、自分は早めに墓地や不動産の整理を始めているとのエピソードを共有しました。
このように、終活に対する考え方やアプローチは様々で、個々の状況に応じた多様な声があることが伺えます。
まとめ
この調査を通じて、終活に関する意識と実行のギャップが明らかになりました。家族とのコミュニケーションの不足が、より効果的な終活を妨げているのかもしれません。生き生きとした人生を送りながらも、終活について考える姿勢を持つことが、今後ますます重要になっていくことでしょう。人それぞれの終活がどのように進んでいくか、今後の動向が楽しみです。