2025年5月の日本のM&A(企業の合併・買収)市場について、最近の動向を詳しく見ていきます。M&A件数は前年と比べて8件減少の100件となり、4ヶ月ぶりに前年同月比での減少という結果が出ました。
一方で、取引総額は9372億円を記録しており、前年同月比で9.9%の増加となりました。このデータは上場企業の適時開示情報を基に、M&A Online編集部が集計したものです。
5月のM&A傾向
この5月、注目すべきトピックはTOB(株式公開買い付け)案件が上位10件の中で7件を占めているという点です。その内訳は、経営陣によるMBO(経営陣による買収)が3件含まれている状況です。TOBの増加は、コーポレートガバナンス改革が進む中で、企業が株主の利益を重視する傾向を反映しています。特に海外の投資ファンドが割安とされる日本企業に対して積極的に投資を行っていることも、TOB件数の増加に寄与しています。
取引総額上位3社
次に、取引額が特に大きかった上位3社についてご紹介します。
1.
NTT:NTTは、子会社のNTTドコモを通じて住信SBIネット銀行を子会社化し、銀行業に進出しました。この案件は、取引額が4,200億円と大きな規模を誇るものです。
2.
塩野義製薬:塩野義製薬は、日本たばこ産業(JT)の医薬事業を取得し、取引額は1,600億円となりました。また、このくだりでは、鳥居薬品をTOBで子会社化する計画もあるようです。
3.
日新:最後に、日新は米ベインキャピタルと連携し、MBOを通じて株式を非公開にする動きがあり、取引額は1,180億円です。
最後に、NTTは注目される成果を上げましたが、グループ内再編による案件が外部には含まれていないため、企業統合の流れの中でも大きな変化が見られました。NTTデータグループの完全子会社化は、親子上場の解消を目指しており、これもまた注目されています。
今後も、M&A Onlineでは最新の情報を提供し続け、日本経済のイノベーションや後継者問題の解決の一助となることを目指していきます。