自動運転車両と連携した注意喚起システム
和歌山県太地町において、高齢者向けの自動運転サービスの安全向上を目的とした実証実験が行われました。この実験は2024年の2月14日から3月13日までの約1ヶ月間実施され、積水樹脂株式会社が参画しました。
実施背景
太地町は、高齢者が多く46%を超える人口構成を持つ地域です。町内は家屋が密集しており、狭い路地が多く、公共交通機関が通りにくい状況です。このため、高齢者にとって外出が難しい環境が整っていました。そこで、2022年11月から、町営じゅんかんバスが運行できないエリアへの新たな交通手段として、漁協スーパーや病院を巡回する自動運転車両のサービスが開始されました。このサービスは、フリー乗降制で行われ、月に1,000名以上の方々に利用されています。
自動運転サービスの利用と課題
自動運転車両は電磁誘導線に沿って運行され、車両接近時には特定のテーマソングでお知らせする仕組みです。しかしながら、路地から県道に出る際に見通しが悪く、歩行者が車両の接近に気づかない場合があり、安全性に課題がありました。
実証実験の内容
この問題を解決すべく、自動運転車両との連携による注意喚起システムが導入されました。具体的には、狭い見通しの悪い場所にLED表示板(オプトマーカーⅤ)を設置しました。この表示板は、自動運転車両に搭載されたITS技術を活用した位置測位ユニットと通信機から送信される情報を受信し、走行する車両の接近を示します。歩行者に対してはLED表示板が点灯し、注意を促します。また、小学校近くには、ひらがなやピクトグラムも使用しています。
さらに表示板の下部には、注意喚起灯(サンデリーⅢ)を設置し、LED表示板が点灯した際にその灯りも点滅させることで、歩行者の目を引く仕組みが導入されています。
自動運転車両の概要
自動運転車両のサービスは、運行開始から約2年が経ちました。太地町の人口は2024年3月末時点で約2,826人であり、自動運転のサービスではランドカーが用いられ、日々4台の車両が運行されています。新たなサービス導入により、高齢者の外出機会が増加し、町内での生活の質の向上が期待されています。
積水樹脂株式会社の取り組み
積水樹脂株式会社は、自動運転技術やIoTを用いた交通安全製品を拡充し、次世代の交通環境の整備に貢献しています。「自動運転」と「IT技術」の融合による新たな価値創造を目指し、その取り組みは今後も続きます。
まとめ
和歌山県太地町における自動運転とLED表示板を活用した実証実験は、高齢者の移動支援と地域の交通安全に寄与する新たな取り組みとして注目されています。今後、このようなシステムが他地域にも普及していくことが期待されます。