近年、木材業界ではウッドショックという現象が起こり、輸入材への依存が明らかになりました。この状況を受けて、農林水産省と東建コーポレーション、協和木材、ダイリFPCの4社は、国産材を賃貸住宅分野で組織的に活用する「建築物木材利用促進協定」を2026年5月22日に締結しました。この取り組みは、賃貸アパートやマンション建設において初めて国産材を利用することを目的としています。
1. 国産材にシフトする理由
ウッドショックは、新型コロナウイルスの影響や国際物流の混乱によって引き起こされており、住宅業界において木材価格の高騰や供給不足が深刻な問題となりました。特にツーバイフォー工法においては外国産木材に大きく依存しており、これが建設コストや工期に影響を与えてきました。
これに対抗するため、東建コーポレーションは国産材の利用を重視し、国内サプライチェーンの構築を進めることにしました。無理のない供給を実現するために、協和木材とダイリFPCとのタッグを組むことで、国産材の信頼性と供給の安定性を確保しています。
2. 国産ツーバイフォー材の課題
国産材を幅広く活用するには多くの課題がありました。まず、大径木が不足している問題です。国産材は工法の最適化が進んでいないため、幅広材を製造するための太い丸太が足りず、乾燥技術の不足も深刻です。国産杉は含水率がばらつくため、品質を一定に保つためには高い技術力が求められます。また、国内にはツーバイフォー専用の製材設備が不足しています。
これに対応するため、協和木材とダイリFPCはそれぞれの地域特性を生かして対応策を立てました。これからの国産材利用の拡大には、彼らの連携による供給モデルが不可欠です。
3. 福島と徳島の連携
協和木材(福島県)とダイリFPC(徳島県)の連携は、この取り組みの核となっています。両者はJAS認証を受けており、品質管理の点でもしっかりとした体制を築いています。技術的に高評価を得ている国産材は、確実に東建コーポレーションの需要に応えることが可能です。
ダイリFPCは、約15年にわたって徳島県の林業振興課との連携で技術と実績を重ね、大径木を有効活用するための取り組みをしてきました。これにより、国内唯一ともいえる5mの幅広材の量産体制を確立しました。
4. 新たなスタンダードの確立
こうした取り組みは単なる国産材の利用にとどまらず、全体的な関連産業への波及効果を生む可能性があります。具体的には、林業活性化、持続可能な経済発展、脱炭素社会の実現に寄与することが期待されます。東建コーポレーションの目指す「自立型の国内サプライチェーン」は、他の企業にも影響を与えるリーディングカンパニーとしての役割を果たすことでしょう。
5. 3年間での目標
今回の協定により、3年間で30,000m3の国産材利用を目指します。この量は、約667台の大型トレーラーに相当し、40坪の住宅約1,200戸分に匹敵します。これほどの規模は、木造賃貸集合住宅分野において大きな挑戦であり、業界全体に新しい潮流をもたらすことが期待されています。
6. お披露目式
協定締結後、2026年5月22日にお披露目式が行われ、農林水産省の小坂善太郎長官をはじめ、各社の代表者たちが集まり、国産材利用の拡大に向けた意気込みを新たにしました。
7. 今後の展望
東建コーポレーションは、今回の取り組みを第一段階と位置づけ、さらなる国産材利用の拡大を図ります。それに伴い、各地域の森林資源を最大限に活用し、持続可能な木材利用のモデルを確立し、業界改革を推進していくことでしょう。この取り組みは日本の林業・建築業界を変革し、新たな時代のスタンダードを築く一歩となることが期待されています。