日本のロボティクス分野におけるAI基盤モデルの研究
最近、日本の産業界において、生産性向上を目指したロボットの導入が進められる中、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が新たに「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」におけるロボティクス分野の生成AI基盤モデルの開発に関するデータプラットフォームの研究開発に着手しました。
この研究は、データの収集から基盤モデルの開発、さらには実際の現場での実証までを包括的に扱い、ロボティクスにおける生成AIの能力を最大限に引き出すことを目指しています。また、得られた成果はオープンにされ、日本のロボティクス技術の発展に寄与することが期待されています。
1. ロボティクス分野における生成AIの重要性
ロボティクス分野は多様な応用を持ち、特にサービス業などへのロボット導入が大いに期待されています。しかし、言語や画像処理と比較して、ロボティクス分野でのモデル開発にはいくつかの特有の課題があります。特に、現実の環境におけるデータ収集が難しく、必要な情報が網羅的に揃っていないため、汎用的なAIモデルの作成が困難だと言われています。また、これまでのデータはインターネット上で蓄積されたテキストや画像に依存しており、物理的な動作や環境認識に関するデータが不足しているという問題も抱えています。
このような事情を踏まえ、今回の研究開発プロジェクトでは、データ収集からモデル開発、実地検証までを一貫して行うことが求められています。このプロセスを通じて、具体的な実用に耐える生成AI基盤モデルが形成されることになります。
2. 採択された研究テーマと実施計画
このたび採択されたテーマは、現実環境から多様かつ高品質なロボティクスデータを収集・整備し、それを基にして汎用性の高い基盤モデルを開発、さらにユースケースに応じた個別モデルの開発と社会実装の3段階を一体的に進めるものです。
具体的には、以下のような要素が取り組まれます:
- - 現実世界のデータを収集し、それに基づいた基盤モデルの開発
- - 実際のユースケースに基づく個別のAIモデルの構築
- - 持続可能なデータエコシステムの構築
- - 若手人材の育成
これにより、日本が国際的に競争力を持つAIロボティクス実装力を育てることが期待されています。
3. 今後の展望
このプロジェクトは205億円の予算で、2025年度から2029年度まで行われる予定です。「一般社団法人AIロボット協会」が実施予定先として名を連ねており、業界全体で取り組む重要なフェーズと言えます。
今後、AIを搭載したロボットたちが我々の日常生活にどのように浸透していくのか、その成長と進化を期待しながら見守る必要があります。ロボティクス技術の進展が、日本のサービス業や様々な産業にどれだけの変革をもたらすかが注目される今、私たちもその変化に備える必要があるでしょう。
日本の未来を豊かにするロボティクス分野の発展に期待が高まります。