ベネトクラクス適応追加申請
2024-07-12 15:31:00

アッヴィ、再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫に対するベネトクラクスの適応追加承認を申請

アッヴィ合同会社は、再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫(MCL)に対するベネトクラクスの適応追加承認を申請しました。ベネトクラクスは、体内の特定のタンパク質であるB細胞リンパ腫2(BCL-2)を標的とする経口BCL-2阻害剤です。

ベネトクラクスは、がん細胞で失われたアポトーシスという自然死または自己破壊の過程を回復させる作用があります。日本においては、2019年9月に再発又は難治性の慢性リンパ性白血病の治療薬として承認を取得しており、2020年6月には急性骨髄性白血病に対する希少疾病用医薬品指定を取得、2021年3月にはAMLの適応症に対する治療薬として承認を取得しました。また、2024年6月19日には、再発又は難治性のMCLに対する希少疾病用医薬品指定を取得しました。

今回の申請は、海外第III相試験(SYMPATICO試験)と国内第II相試験(M20-075試験)の結果に基づいています。

MCLは、リンパ節のマントル帯に由来するBリンパ球ががん化するB細胞リンパ腫の一種です。欧米ではNHL症例全体の約6-9%を占め、増加傾向にあります。日本ではNHL症例全体の約3%で、患者数は約2,000人と報告されています。60歳代半ばの患者さんで多く発症し、男女比では男性に多いとされています。約90%の患者さんが、初発時に進行期にあります。また、多くの場合、MCLの初回治療後、高齢者では2-3年、若齢者では約5年で再発又は再燃に至ると報告されています。

現在、日本ではMCLに対する標準治療は確立されていません。自家造血幹細胞移植治療に適応のある患者さんは、強化型化学療法後に自家造血幹細胞移植を行うことが推奨されていますが、高齢者では強化型化学療法が適応とならないことが多いのが現状です。強化型化学療法が困難なMCL患者さんにおいては、推奨された複数の初期治療法がある一方で、これらの初期治療では高い全奏効率を示すことがあっても、大部分の患者さんは最終的には再発します。再発した場合、化学療法の効果は一次治療の効果より劣るほか、急速な進行が認められ得るため、良好な忍容性を維持しつつ再発又は難治性のMCL患者さんの予後の改善を目指す新たな治療法の開発が求められています。

日本での再発又は難治性のMCLに対するベネトクラクスの適応症については、現在開発中であり、その安全性および有効性は確立されていません。

ベネトクラクスは、B細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質に対し、選択的に結合および阻害するファーストインクラスの薬剤です。一部の血液がんでは、BCL-2がアポトーシスと呼ばれるがん細胞の自然死または自己破壊の過程を阻止します。ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質を標的とし、アポトーシスの過程を回復させる作用があります。

ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。これらの企業が共同でBCL-2研究に取り組んでおり、種々の血液がんおよび他のがんを対象に、複数の臨床試験でベネトクラクスを評価しています。ベネトクラクスは、米国を含め80を超える国で承認されています。

アッヴィは、治療困難ながんと向き合う患者さんのために標準治療の変革に取り組んでいます。血液がんおよび固形がんの幅広いがん種に対する治験薬の開発を積極的に推進しています。私たちは、がん細胞の増殖を阻害したり、排除したりする分子標的治療薬の創製に注力しています。抗体薬物複合体(ADC)、がん免疫療法、二重特異性抗体、CAR-Tプラットフォームなど、さまざまな標的治療手段を通じてこれを実現しています。献身的で経験豊富な当社のチームは、革新的なパートナーと協力し、画期的新薬となり得る製品の開発促進に努めています。現在、当社の幅広いオンコロジーポートフォリオは、さまざまな血液がんおよび固形がんに対する既承認薬および治験薬で構成されています。当社は、世界で最も罹患者が多く、また最も消耗性が高いがん種に対し、20種類を超える治験薬を複数の臨床試験で評価しています。当社の事業の目的は、人々の人生を豊かにすることです。そのため、患者さんが当社のがん治療薬にアクセスすることができるよう、ソリューションの探求にも取り組んでいます。

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