国民礼法とは何か?
日本が第二次世界大戦に敗れた後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は日本の教育に手を入れ、軍国主義的および国家主義的思想を排除するという大義名分のもと、礼法教科書である「国民礼法」が重要な役割を果たした。このたび、そんな歴史的な教科書が重版され、再び小学生たちの手に戻ってきた。
教育における「国民礼法」の役割
「国民礼法」は、戦前戦後の日本において、礼法を指導にあたった徳川義親侯爵の思想が反映された重要な教育資源です。侯爵は、日常生活における礼儀作法を厳しく教え込んだ母から多大な影響を受け、それを次世代へと受け継ごうとしています。この教科書は、国民学校の段階で必要な礼法を学ぶための基礎を築くもので、子供たちが社会で必要となる礼儀作法を身につけることを目的としています。
戦後教育における変化
戦後の教育システムでは、「皇室・神社・国旗・国歌」といった要素が忌避されてきた背景がありますが、本書では、新鮮で柔軟な視点からこれらの礼法を学ぶことができるように工夫されています。そして、国民学校の生徒たちが日常の礼法を直感的に理解できるように、堅苦しさを排除した優しい表現がなされている点もポイントです。
本書の特徴と内容
『復刻版 国民礼法』は、A5版の並製で184ページというボリュームを持ち、小学3年生から6年生までの教材が一冊に収められています。著者は礼法教育研究会で、解説を動物行動学の専門家である竹内久美子氏が手掛けています。教科書には、武家の礼法である小笠原流礼法を取り入れた正統なものでありながら、子供でも理解しやすい内容が盛り込まれており、礼儀作法の入門書として申し分ありません。
現代における意義
令和の時代に突入した現在、再び日本人が礼儀作法を重視する中で、この教科書は新たな学び直しのきっかけとなるでしょう。約80年前の教育の成果を現代に生かすことで、子供たちが相手を思いやる心を育て、健全な人間関係を築ける手助けとなります。この教科書が広く読まれることで、礼儀正しさの重要性が再認識されることが期待されます。
その他の復刻書
今回の重版に加え、ハート出版からは小学1、2年生用の『こどものしつけ』や、高等女学校生徒向けの『女子礼法要項』も復刊されています。これらの資料も、礼法教育の重要性を広く伝えるために非常に有効なものです。書籍は税別1400円、ISBN978-4802401432で販売されており、詳しい情報は
こちらから覧いただけます。
まとめ
GHQによって廃止された「国民礼法」が、今また重版されることになったのは、時代の価値観が再評価されている証拠でもあります。戦後から続く教育の在り方に新たな光を当て、次世代にしっかりとした礼儀とマナーを教えるために、ぜひ手に取って読んでほしい一冊です。