株式会社凜研究所とMycenax社、独自リンカー特許利用の基本合意書を締結
株式会社凜研究所(以下、凜研究所)は、Mycenax Biotech Inc.(以下、Mycenax)と、同社が開発した独自のリンカー特許を利用するための基本合意書を締結したことを発表しました。この合意により、両社は共同でリンカー特許の強化と戦略的マーケティングに関する研究を進めることになります。
合意書締結の目的
この合意の主な目的は、Mycenaxを通じたCDMO事業の展開を支援し、国内外での独自リンカーの有用性を強調することです。具体的には、欧米や日本を含む主要国での独占的な実施権をMycenaxおよびそのパートナーであるKriSan Biotech(以下、KriSan)に付与する予定です。これにより、Mycenaxは製造受託のマーケティングを行い、抗体薬物複合体(ADC)のパイプラインを持つ製薬企業との提携を促進します。さらに、凜研究所は、ロイヤリティとして契約一時金と製造受託から得た正味販売額に一定割合をかけた金額を受け取る契約を進めていきます。
背景にある技術
凜研究所の取締役である松村保広が提唱するがん間質ターゲティング(CAST)療法は、がんの周辺組織に特異的に沈着する成分に対してADCを利用する新しい治療法です。この技術では、腫瘍微小環境内で不活性化されたリンカーが活性化される仕組みを採用しており、これにより特異的に切断される効果が得られます。前臨床試験において、抗不溶性フィブリン(以下、IF)において選択的薬物放出が確認され、膠芽腫やすい臓がんモデルにおいて強力な抗腫瘍活性を示すことが実証されています。
独自リンカーの可能性
このLINカーを用いたADC治療法は、従来のADCが持つ問題点、すなわち正常な細胞に結合してしまうことで生じる副作用を回避する可能性があります。最近では、科学界においてADCの治療効果が注目されており、特に難治性がんに対する高い効果が報告されています。
今後の展開
Mycenaxは現在、凜研究所の新薬開発パイプラインである抗TMEM180抗体の製造を受託しており、高品質のADC製造に成功しています。さらに、今後のパイプラインにおいても、このリンカー技術を用いることが期待されています。新たな治療法の提供に向け、製薬企業との提携を進め、医薬品の可能性を広げることが大きく期待されます。
Mycenaxの紹介
Mycenaxは、台湾に本社を持ち、CDMOサービスを提供する企業として知られています。完全に統合された製造バリューチェーンを持ち、GMPに準拠した施設を運営しています。グローバルなCDMOサービスの強化を目指し、KriSanと提携を結び、次世代ADCの需要に充実に応える活動を進めています。
このように、凜研究所とMycenaxの協力により、革新的ながん治療法の開発が加速されることが期待されています。これからの展開が注目される中、製薬業界における両社の役割がますます重要になってくることでしょう。