長野市民病院が生成AIで業務効率化を実現
長野県長野市に位置する地方独立行政法人長野市民病院が、生成AIアシスタントを導入し、医療現場での業務効率を劇的に向上させたことが明らかになりました。藤田医科大学の出身で400床を擁する同病院は、特に人手不足が深刻化する中この取り組みを進めており、その結果、年間で5,472時間に相当する業務効率化を達成しました。これは、月平均で約456時間、常勤職員3名分に相当します。
医療現場での生成AI活用
このプロジェクトは2025年4月から2026年1月までの利用実績に基づいて行われました。111名の職員を対象に行われた調査によると、生成AIアシスタントは非常に有効に機能しており、診療文書の作成や情報収集、記録作成などさまざまな業務での時間短縮を実現しています。具体的には、紹介状や退院サマリの下書き、緊急患者のカルテ要約、看護師の勤務に必要な情報収集、さらには音声文字起こしなど、多岐にわたるタスクに利用されています。
効率化と診療の質の両立
職員からのフィードバックによると、業務効率と診療の質の向上が同時に実現されているとの結果が出ています。アンケートに対する回答は以下の通りです。
- - 業務効率と診療の質が両方とも向上した: 45.6%
- - 診療の質が向上した: 3.8%
- - 業務効率が向上した: 48.1%
- - 変化なし: 2.5%
この結果からも、職員の約98%が何らかの形で「効率向上」か「質向上」を実感していることがわかります。これにより、生成AIの導入が診療の質向上にも寄与していることが示されました。
持続可能な医療のための取り組み
長野市民病院では、2023年6月にプライベートクラウド上に生成AIエンジンを構築し、電子カルテデータとの安全な連携基盤を整備しました。データ活用基盤ベンダーと共同で実証実験を進め、同年8月には電子カルテデータと生成AIの直接連携に成功しました。これにより、情報システム室とDX推進チーム「チームDIGITAL2.0」が主導で、今後約2年半で50種類以上の生成AIアシスタントが開発される見込みです。
医療の未来を見据えた取り組み
長野市民病院の上席副院長である草野義和氏は、「電子カルテと直接連携したことで現場に即した実装が可能となった。年間5,472時間の業務効率化は、医療者が本来向き合わなければならない『患者との時間』を取り戻す成果。安全に運用し、医療の質と生産性の両立を図ることが可能になった」と自信を持っています。
病院の概要と参加企業
長野市民病院は長野県長野市にある地方独立行政法人で、400床を有しています。さらに、今回の取り組みにおいて技術パートナーとして協力したのは、株式会社ユニリタです。この企業はノーコードETLツール「Waha! Transformer」と生成AIクラウドサービス「SecuAiGent」を提供しており、電子カルテデータとの連携を実現しました。
このような革新的な取り組みにより、長野市民病院は医療の質の向上のみならず、患者と向き合う時間の確保にも寄与する現代的な医療機関として注目を集めています。