津南醸造、マレーシアでESG連携の可能性を探る
津南醸造株式会社(本社:新潟県中魚沼郡津南町、代表取締役社長:鈴木健吾)は、2025年9月29日、マレーシアのICT都市であるサイバージャヤに位置する「センターオブガレージ」を訪問しました。この訪問では、東南アジアにおける持続可能な農業や食産業の革新を目指す企業と対話を行い、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から国際連携の可能性について検討しました。
訪問の概要
津南醸造の訪問当日は、Sustainable Food Asia Sdn. Bhd.のCEOであるBoonLee Chiam氏の案内のもと、先端テクノロジーを活用した複数の企業の視察が行われました。視察先には、農業・バイオテクノロジー・循環型産業の分野で特に注目されている企業が含まれました。特に、「天地人」や「プラチナバイオ」といった日本発の企業が持つ技術の紹介を受け、マレーシアの農業における新たな可能性を確認しました。
津南醸造は、日本酒造りで得た発酵技術の強みを生かし、農産物の保存性や機能性を向上させることで、フードロス削減と高付加価値化の両立を目指す取り組みを紹介しました。これにより、国連のSDGs(持続可能な開発目標)で掲げられる「つくる責任 つかう責任」の実現に向けて、一歩前進できると考えています。
視察先企業の取り組み
PNH株式会社
PNH社は食品廃棄物のアップサイクルに取り組む企業で、特にマレーシアにおいては使用済みのコーヒー粕を再資源化するプロジェクトを進行中です。廃棄物を価値ある資源に変える技術の社会実装の可能性を探ることで、持続可能な産業の構築に寄与しています。
AlphaSwift社
農業や物流分野での応用が期待されているドローン技術を提供するAlphaSwift社を視察しました。ASEAN地域では、農業人口の減少や気候変動による農作物の収穫不安定化が懸念されており、ドローン技術は一次産業の持続可能性を支える重要な手段と位置付けられています。
ASEAN地域のフードテック事情
ASEAN地域は世界の人口の約8.5%を占め、急速に進む経済成長と都市化によって、食料需要が急増しています。しかし、気候変動や輸入依存度の問題が食料安全保障の脅威となったいます。このため、各国政府や民間への投資は、代替タンパク質の開発や食品廃棄物の再資源化などフードテック分野に拡大しています。2024年には、この分野への投資が過去最高になると予想されています。
津南醸造の発酵技術は、保存性や栄養価を高めるソリューションとしてASEAN市場において非常に重要な役割を果たす可能性があると考えています。地域の農産物と発酵技術を結びつけることで、持続可能な食料システムを築くための付加価値創出が期待されます。
今後の展望
この訪問を通じて、津南醸造は日本の発酵技術とASEAN地域の最先端技術を融合させることで、食産業におけるESGを考慮した国際モデルを共に築いていく可能性を確認しました。今後も「Brew for Future 〜共生する未来を醸造する〜」の理念に基づき、地域の伝統と革新を結びつけ、持続可能な未来の食と農業の発展に貢献してまいります。
津南醸造について
新潟県中魚沼郡津南町に位置する津南醸造は、日本酒の製造を行う酒蔵です。豪雪地に位置するこの酒蔵では、標高2,000m級の山々から湧き出る天然水を用いており、地元で栽培される酒米「五百万石」や「魚沼産コシヒカリ」を使った酒造りのスタイルが特色です。2025年には「越後流酒造技術選手権大会」において、新潟県知事賞を受賞し、その技術力が評価されました。
津南醸造の公式ウェブサイト