越境ECを加速するシンガポールライブコマースの成功例

最近、越境ライブコマースが日本の企業に新たな販路をもたらしています。その中でも、シンガポールをターゲットにした「Singapore Home Cooks」（SHC Live）が注目を集めています。2023年春に行われたライブイベントで、たった2週間で6500万円以上の売上を達成。この成果は、シンガポールの消費市場の実力を示すものとなりました。

ライブコマースとは？

ライブコマースは、FacebookなどのSNSを利用し、リアルタイムで商品を紹介・販売する仕組みです。従来のテレビ通販番組と似ていますが、視聴者とのインタラクションが可能で、質問に答えながら進行する点が特徴です。この手法は特にCOVID-19の影響下で需要が高まり、中国を中心に急速に成長しています。

SHC Liveは、2013年に始まったシンガポールのFacebookグループで、自宅で料理をする情報をシェアすることからスタートしました。2020年以降、自炊ブームに合わせて会員数が大幅に増え、関連商品を扱うライブコマースが急速に拡大しました。食品から化粧品、アパレルまで多岐にわたっています。

日本の商品とシンガポール市場

シンガポールには日本のファンが多く、2022年のテスト期間中には、平均200万円以上の売上を記録しました。中には1日で1000万円以上を達成した例もあり、この市場の潜在力を裏付けています。シンガポールは高いGDPを誇る国であり、良い商品には相応の価格を払う国民性を持っています。これにより、企業にとって少数高単価の取引がしやすく、効率的な売上を見込める利点があります。

SHC Liveの視聴者は、主に女性、中華系シンガポール人で、世帯年収は2000−3000万円と、日本贔屓であり消費意欲の高い層が中心です。このような顧客層にアプローチすることで、日本企業にとって大きなチャンスとなります。

対象企業

SHC Liveは、次のような企業やブランドに特におすすめです。まず、すでに中国や台湾でライブコマースを展開している企業。次に、海外輸出支援を行っている企業・団体。また、ライブコマースや国際展開に興味があるが実績が少ない企業も含まれます。このような企業に対して、ライブ配信から商品選定、価格設定まで一貫してサポートを提供します。

シンガポール市場特性

シンガポールでは、小ロットからのライブコマースが可能で、視聴者との距離が近いため、親しみやすい環境が整っています。視聴者の約50%以上が購入に至る確率も高く、特に美容品や食品といった商品の継続的な購入が期待されます。これにより、商品の魅力を引き出しやすいのです。

実績と成功事例

例えば、香水ブランドのSholayeredがライブ配信で300万円以上を売り上げたことや、食品業者の林九衛門商店が100万円以上の売上を達成した事例が挙げられます。また、広島のシャンプーブランドYakujyoでは、継続的にライブを実施し、リピート購入を促進することで大きな成果を上げています。これらの事例は、シンガポールという市場が日本企業にとって魅力的な舞台であることを示しています。

未来への展望

ライブコマースは、インタラクティブな体験を提供することで、オンラインショッピングの不安要素を解消し、さらなる成長が期待されています。特に若い世代がSNSを利用する中、これからも需要が高まるでしょう。シンガポール市場の特性を活かした取り組みは、確実に日本企業の海外進出への一歩となります。

シンガポールという市場での成功を後押しする「SHC Live」の活用は、日本の製品や文化を世界に広める手段として、今後も注目され続けるでしょう。