整備士を酷暑・極寒から守る新たな取り組み
昨今、自動車整備工場の労働環境が厳しさを増しており、特に真夏や真冬の過酷な条件下での作業が整備士たちの健康を脅かしています。そんな中、香川電力株式会社が自動車整備工場向けの新製品『ピットキューブ』を発表しました。このキュービクルは、エアコン専用として設計されており、労働環境の改善と人材確保を目指しています。
1. 開発の背景
日本全国の自動車整備工場では、近年実施された法改正により、熱中症対策が義務化されるなど、快適な作業環境の整備が急務とされています。実際、国土交通省の調査によると、整備士の人数は年々減少しており、専門学校への入学者数も約47%減少しています。現状、雇用の受け皿はあるものの、自動車整備士になりたいという人が減っているのが実情です。
この状況に対処するためには、過酷な作業環境を改善する必要があります。暑さによって工場内の温度が40度を超えることもあり、熱中症や作業効率の低下が深刻な問題とされています。加えて、空調設備の導入には、電源容量や設置スペースの問題、納期の長さなどが障壁となっているのです。
2. 『ピットキューブ』の特長
『ピットキューブ』は、こうした課題に対処すべく、香川電力をはじめとする6社が協力して開発されました。この製品の特徴は以下の通りです。
- - 省スペース設計:狭い敷地でも設置可能なサイズ(W850mm×D900mm×H1900mm)を実現。
- - 短納期:標準化・量産化により、最短1週間での納品が可能。
- - コストダウン:中小整備工場でも導入しやすい価格設定。
これにより、整備士の熱中症リスクが低減されると共に、業務効率の向上と人材定着が期待されます。さらに、社会全体での省エネルギー推進と脱炭素化にも寄与することを目指しています。
3. 開発体制と役割
このプロジェクトには、以下の6社が関与しています。
- - 香川電力株式会社:開発主幹としての役割を担う
- - 株式会社アプティ:整備工場の運用に関する情報提供
- - ダイキンエアテクノ株式会社:空調機器の設計
- - 力電株式会社:キュービクルの筐体設計・製造
- - 宝田電産株式会社:省スペース構造設計・組み立て
- - 株式会社ダイヘン:省スペーストランスの設計
このように、多様な専門知識を集結させて新しいエアコンキュービクルを開発しました。
4. 今後の展開
香川電力は、今後『ピットキューブ』を全国に展開し、全国の整備工場における快適な作業環境の創出を目指します。注文受付は2025年9月に開始予定で、実際の出荷は2026年2月を見込んでいます。今回は特別設計のため、製造個数には限りがありますので、早期の予約が推奨されています。
5. 結論
『ピットキューブ』の導入により、整備士の労働環境が改善されることで、今後の自動車整備業界における人材確保や業務効率の向上が期待されます。これによって、安全なカーライフを維持するための一翼を担うこととなるでしょう。香川電力は今後も社会課題の解決に貢献していく所存です。