NTT Comが分散データセンターでの生成AI学習に成功
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、分散データセンターを利用した生成AIの学習実証実験に世界初で成功したことを発表しました。このプロジェクトでは、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想の主要技術であるオールフォトニクス・ネットワーク(IOWN APN)を用い、NVIDIA GPUを搭載したサーバーを複数のデータセンターに分散配置。これにより、生成AIモデルの学習を効率的に実施しました。
実証実験の背景
生成AIや画像処理の分野では、GPUクラスタの重要性が高まっています。従来は、単一のデータセンターでのGPUクラスタ利用が一般的でしたが、データ処理量の変動や電力供給の制約、データの機密性などが課題でした。今回の実証では、これらの問題を解決する新たなアプローチの有効性を確かめることができました。
実証実験の概要
プロジェクトにおいては、三鷹と秋葉原にあるデータセンター間を100GbpsのIOWN APNで接続し、各拠点に配置したNVIDIA GPUサーバーを連携させました。NVIDIAが提供するNeMoプラットフォームを用いて生成AIモデルの分散学習を行い、円滑なデータ転送を実現しました。この技術では、単一のデータセンター同様にパフォーマンスを維持しながら、より柔軟なGPUクラスタの構築を可能にしました。
主な特徴として、IOWN APNの低遅延で大容量な接続により、GPUサーバー間でのデータ転送が迅速化されました。また、NVIDIA NeMoを使用することで、多様な生成AIモデルに対応できる環境を整えました。
実証の成果
この実証実験は、新たな技術の融合により高速かつ効率的な生成AIの学習を実現しました。IOWN APN経由の分散データセンターでの学習時間は、単一のデータセンターでの学習時間とほぼ同等であることが確認され、従来のインターネット経由と比較しても、パフォーマンスを大幅に向上させることができました。
今後の取り組み
NTT Comは、実証実験の成果を基に、国内70拠点以上のデータセンターをつなぐ「APN専用線プラン powered by IOWN」や、省エネ型データセンターサービス「Green Nexcenter」を提供する計画です。これにより、企業がAI技術を実際のビジネスに活用しやすい環境を整備していく方針です。
docomo business Forum'24について
また、2024年10月10日から11日に開催される「docomo business Forum'24」では、今回の実証成果を紹介する予定です。公式サイトから事前申し込みが可能ですので、興味のある方はぜひご覧ください。
公式Webサイト:
NTT Comイベントページ
展示名:その瞬間を感じるIOWNの世界
日程:2024年10月10日(木)〜11日(金)
会場:ザ・プリンス パークタワー東京
今回の実証実験は、デジタル社会における生成AIの可能性を大きく広げる成果となるでしょう。今後の市場における展開に期待が寄せられています。