大塚ローテックの「7.5号」が国立科学博物館で保存される
日本の科学技術の発展を支えてきた国立科学博物館に、大塚ローテックの腕時計「7.5号」が新たにコレクションされることとなりました。この時計は、著名なデザイナーであり時計制作者である片山次朗により設計され、独特なジャンピングアワー機構が特徴です。
大塚ローテックとは?
大塚ローテックは、2012年に片山次朗によって創業された時計ブランドです。片山はカーデザイナーとしてのキャリアを持ちながら、自らの時計作りへと情熱を傾けました。彼が機械式腕時計の製作を始めたきっかけは、ネットオークションで手に入れた卓上旋盤でした。この旋盤を使い、独自の設計で時計を製作し始めたのです。時計に込められた彼の情熱は、今では多くの時計愛好者たちからも評価されています。
「7.5号」の魅力
「7.5号」は、その名の通り特別な機能を備えています。この時計の最大の特徴は、正時になると数字が一瞬で切り替わるジャンピングアワー方式です。ケース上部に配置された3つのウィンドウが、それぞれ時、分、秒を表示します。特に注目すべきは、片山自身が設計したこの時計のムーブメントです。国産のMIYOTA製ムーブメント82S5をベースにし、自社製のモジュールを追加することで、さらなる精度と美しさを追求しました。
「7.5号」の自社製モジュールは、約30点の部品で構成されており、品質の高さを誇ります。2021年に誕生したこの腕時計は、2023年製の現行品が国立科学博物館に保存されることが決定しました。これに際して、片山は「面白い時計を作っていた人がいた」と後世に伝えられることを嬉しく思っているというコメントを発表しました。
国立科学博物館の役割
国立科学博物館は、日本の科学技術の歴史を紐解く重要な役割を担っています。その中でも理工学研究部は、科学技術に関する多種多様な資料の収集、保存、研究を行っています。コレクションは、3万点を超える量を誇り、今回「7.5号」が加わることで、現代の時計製作技術の一端を示すことになります。これは時計業界における新たなマイルストーンであり、今後の研究や活動においても重要な資料となるでしょう。
未来に向けた展望
「7.5号」の保存は、時計だけでなく、デザインや製造過程に対する新たな視点を提供します。片山の経歴や情熱は、多くの若手デザイナーにとってもインスピレーションとなるでしょう。今後も、大塚ローテックは新しい技術やデザインに挑戦し続け、時計の魅力を発信していくことに期待が寄せられます。
時計は道具でありながら、美しいアートでもあります。大塚ローテックのようなブランドが存在することで、私たちの身近な時間の刻まれ方が、より豊かで多様なものへと変わっていくのです。
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