KPMGの小売調査
2024-10-17 23:58:48

KPMGジャパンが明らかにした小売業界の顧客体験へのテクノロジー活用調査結果

KPMGジャパンによる小売業界テクノロジー調査



KPMGジャパンが発表した「顧客体験価値を向上させるテクノロジーに関する調査」は、国内の小売業界におけるテクノロジーの活用現状や、その効果についての洞察を提供しています。調査では、実店舗の購買利便性向上に向けたさまざまなテクノロジーが評価されています。具体的には、次の6つのカテゴリーが対象となりました。

1. 実店舗における購買の利便性を高めるテクノロジー
2. オムニチャネルショッピング
3. ハイパーパーソナライゼーション
4. 多様な配送サービス
5. エシカルソーシングを促進する情報提供
6. その他新興テクノロジー

これらのテクノロジーに関連した企業と消費者両方へのアンケート調査を通じて、企業が現在実施している取り組みと、消費者が実際に求めるレベルにどれほどのズレがあるのかを明らかにしています。

主要な調査結果のハイライト



調査によると、消費者が実際に活用するテクノロジーと企業の導入状況の間には明らかなギャップが存在します。例えば、「セルフ化や無人店舗」は企業側の導入が35%であるのに対し、消費者の実際の利用という点では53%に達しています。これは、消費者がこの種のテクノロジーに非常に前向きであることを示唆しています。

一方で、企業側が導入しているにもかかわらず、消費者の活用が進んでいないテクノロジーもあることがわかりました。具体的には、OMO(Online Merges with Offline)ロイヤルティプログラムについては、企業が34%導入しているのに対し、活用している消費者はわずか19%にとどまっています。この乖離は、プログラムの内容が消費者にとって魅力的ではないと感じられていることが要因と考えられます。

さらに、「パーソナライズド広告・販促」では、利用する企業の割合が63%に達していますが、同時に53%の消費者がネガティブな印象を受けています。これは、企業が消費者のプライバシーを過度に侵害しているとの懸念や、広告の精度に不満を持っていることが影響しているようです。

技術ごとの詳細調査内容



1. 実店舗における購買の利便性を高めるテクノロジー


この分野では、特にセルフレジや無人店舗が注目されています。在庫管理や店舗レイアウト情報のデジタル化の必要性に伴い、多くの企業がこれらのシステムの導入を進めています。現在、これらの技術導入は進んでいるものの、初期投資が高額であることから、企業は採算性を厳格に評価する必要があります。

2. オムニチャネルショッピング


コロナの影響もあり、eコマースと実店舗の融合が進んでいます。顧客の情報を基にしたロイヤルティプログラムが重視されており、特に衣料品小売業においては、対面での接触ポイントを活用する方法が模索されています。しかし、企業の導入進捗に比べ、消費者の活用状況は思わしくありません。

3. ハイパーパーソナライゼーション


この概念は、AIや機械学習による顧客データの収集を基にしており、顧客一人ひとりに合わせたオファーを提供することを目指します。しかし、これに対する消費者の警戒感も強く、特にプライバシーに関する懸念が大きいことが調査から明らかになっています。企業は、情報の透明性を高めることで、消費者の受け入れを促進する必要があるでしょう。

KPMGジャパンによるこの調査は、現代の顧客体験向上においてテクノロジーが果たす役割を検討するうえで、貴重な洞察を提供しています。今後の小売業界におけるテクノロジー活用の進化が期待されます。


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会社情報

会社名
KPMGジャパン
住所
東京都千代田区大手町1-9-7
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