夏の睡眠不足が社会的課題に。エアコン活用法で快眠を目指そう

今年の夏、睡眠の質は大打撃？

日本での暑い夏は、昨今の気候変動によってますます厳しくなっています。2023年の6月、日本で観測された月平均気温は、1898年からのデータの中で最も高い驚くべき記録となりました。特に、東京や大阪では、平年より早く熱帯夜が訪れ、不快な夜が続いています。この影響を受けて、パナソニック株式会社が実施した調査によれば、今夏の睡眠満足度は、63%が「満足していない」との結果が得られ、さらに約88%の人々が、睡眠不足が自身のパフォーマンスに影響を及ぼしていると回答しました。

調査結果から読み解く summer sleep issues

調査によると、夏の睡眠を妨げる主な要因は、「暑さ」が78%、続いて「湿気」が56%、さらに「ストレス」が31%と、多くの人が熱帯夜や湿気による不快感に苦しんでいることが伺えます。エアコンの使用については、43%が「朝まで使用している」としながらも、16%は「使用していない」と回答しており、冷えや電気代への懸念が主な理由となっています。しかし、厚生労働省は成人において、理想的な睡眠時間は6時間以上であると提言していますが、今夏の調査結果では50%の人が6時間未満であり、健康面への影響が懸念されます。これらのことは、特に睡眠の質が低下しやすい夏の時期において、非常に深刻な問題であると言えるでしょう。

医学の専門家からの警鐘

睡眠評価研究機構の白川修一郎先生によれば、慢性的な睡眠不足は個人の健康だけでなく、社会全体の課題として挙げられるべき事態になっています。それによって集中力や判断力の低下が引き起こされ、生産性の低下や病気のリスクが増加することが懸念されています。最近の研究により、日本では睡眠不足によって年に20兆円もの経済損失が生じていることが指摘されています。これは労働パフォーマンスの低下だけでなく、健康管理や子供の成長にも影響を与える事態となっているのです。

エアコンのある快適な睡眠環境作り

ここで、パナソニックのエアーマイスター兼睡眠改善インストラクターである福田風子氏が提案する、夏の睡眠環境を整えるためのエアコンの効果的な活用法を見てみましょう。以下は、熱帯夜を快適に過ごすためのポイントです。

1. エアコン稼働のタイミングを工夫する
寝室に入る30分前にエアコンをONにしておき、冷房効果を最大限引き出すために風を天井に向けることが重要です。最適な室温は26～28℃が推奨されています。

2. 冷房はつけっぱなしが最良
夜間のエアコン使用に関しては、途中で電源を切るのではなく、朝までつけっぱなしにすることを推奨します。これにより、寝苦しさによる中途覚醒を防ぐことができます。

3. 湿度管理がカギ
湿度は60%以下に保つようにし、エアコンの除湿機能を上手に使いましょう。湿度が高いと、睡眠環境が悪化しやすくなります。

4. フィルター掃除を忘れずに
定期的なフィルター掃除が欠かせません。フィルターが汚れると、エアコンの効率が落ち、電気代も無駄になります。ホコリが溜まりやすい寝室のフィルターは、最低でも2週間に1度は掃除することを習慣に。