中小企業のDXとリスキリング
2023-03-20 11:00:01
中小企業のDX化を阻む「リスキリング」問題:6割が概念を理解せず、9割以上が施策未実施
中小企業のDX化を阻む「リスキリング」問題:6割が概念を理解せず、9割以上が施策未実施
近年、政府によるデジタル化推進政策や多額の予算投入によって「リスキリング」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。しかし、中小企業においては、その実態に大きな課題があることが、フォーバルGDXリサーチ研究所の調査で明らかになりました。
調査結果:リスキリングへの認識と取り組みの現状
今回の調査では、全国の中小企業経営者1,619名を対象に、ウェブアンケートを実施しました。その結果、衝撃的な事実が判明しました。
1. リスキリングの認識不足: 「リスキリングを良く知らない」「知らない」と回答した経営者は約6割(60.7%)にのぼりました。「知っており、他人に説明できる」と答えた経営者はわずか12.4%でした。これは、リスキリングの重要性や具体的な内容が、中小企業経営層に十分に浸透していないことを示しています。
2. リスキリング施策の未実施: 「リスキリングへの取り組みや支援を行っていない」または「行う予定もない」と回答した企業は、全体の92.4%と9割を超えました。「行う予定がある」と回答した企業も19%にとどまり、大多数の中小企業がリスキリングに真剣に取り組めていない現状が明らかになりました。
3. eラーニングへの偏り: リスキリングを実施している企業においては、「eラーニング、オンライン学習サービスの活用」が最も多く、半数近くの企業が利用していました。しかし、その他の施策は3割以下にとどまり、リスキリングの取り組みがeラーニングに偏っていることがわかりました。
リスキリング推進の課題と対策
調査結果から、中小企業におけるリスキリング推進には、以下の課題が浮き彫りになりました。
経営層の意識改革: まずは経営層がリスキリングの重要性を理解し、積極的に推進していく必要があります。そのためには、リスキリングに関する教育や啓発活動が不可欠です。
具体的な施策の策定: eラーニングだけに頼らず、各職種、各役割に合わせた多様なリスキリング施策を策定する必要があります。オフライン研修やOJTなども有効な手段です。
費用と時間の確保: リスキリングには費用と時間がかかります。中小企業にとっては大きな負担となるため、政府による支援策の活用や、効率的な研修方法の導入が重要です。
人材育成の体系化: リスキリングを一時的な取り組みではなく、継続的な人材育成の一環として捉え、体系的な計画を立てて実施していく必要があります。
フォーバルGDXリサーチ研究所所長 平良学氏コメント
フォーバルGDXリサーチ研究所所長である平良学氏は、この調査結果について、次のようにコメントしています。「デジタル社会において、デジタル技術を使いこなせる人材の確保は、企業にとって大きな課題です。しかし、技術だけでなく、コンプライアンスや情報倫理に関する教育も重要です。変化への対応を続けるため、継続的な人材への投資が不可欠です。」
まとめ
中小企業のDX化を推進するためには、リスキリングが不可欠です。しかし、現状では認識不足や施策の未実施が大きな課題となっています。政府、企業、そして個人が連携し、効果的なリスキリングを推進していく必要があります。今回の調査結果が、その一助となれば幸いです。
調査概要
調査主体:フォーバルGDXリサーチ研究所
調査期間:2023年1月10日~2月10日
調査対象者:全国の中小企業経営者
調査方法:ウェブアンケート
* 有効回答数:1,619人
会社情報
- 会社名
-
株式会社フォーバル
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前五丁目52番地2号 青山オーバルビル14階
- 電話番号
-
03-3498-1541