東京ガス、カーボンクレジットの信頼性向上に向けた新フレームワーク策定を発表
東京ガス株式会社は、東京海上日動火災保険株式会社および日本工営株式会社と共に、「カーボンクレジット創出プロジェクトに関与する企業の人権尊重のためのフレームワーク」を策定しました。このフレームワークは、企業のカーボンクレジット取り扱いにおいて信頼性を高めることを目的としています。特に、発展途上国でのプロジェクトに伴う人権問題が国際的な懸念として取り上げられている中、より実効性のある制度を整えようとしています。
背景
近年、企業の温室効果ガス(GHG)をオフセットする手段として、カーボンクレジットの利用が広まっています。しかし、一部のプロジェクトでは、現地の労働者への不当な待遇や先住民の強制移住といった人権侵害が報告されています。このような事例は、国際機関からも懸念されており、実質的な人権配慮が求められるようになっています。しかし、現在の国際ガイドラインは主にGHGの吸収量の担保に焦点を当てており、人権に関する評価基準は整備されていないのが実情です。
東京ガスはこの課題に対処するため、東京海上日動や日本工営と連携し、人権配慮に関する明確な評価基準を設けたフレームワークを開発しました。
フレームワークの策定体制
本フレームワークの策定には、各社の専門知識が活用されています。東京ガスはカーボンクレジット創出プロジェクトに関する実務的な知見を、東京海上日動はリスクマネジメントの専門性を、日本工営は環境に関するデュー・ディリジェンスの知見を提供しており、更に有識者の協力を得ることで、実務に適した内容に仕上げられています。
フレームワークの構成と活用
このフレームワークは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を基に作成され、プロジェクト関係者による人権配慮の強化を目指すものです。各社は社内向けの実務基準も策定し、フレームワークの実効性を高める取り組みを行っています。この取り組みにより、東京ガスはカーボンクレジットの品質を担保し、信頼性を向上させることを目指しています。
今後の展望
東京ガスは、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、熱の脱炭素化だけでなく信頼性の高いカーボンオフセットを積極的に活用する方針を掲げています。また、カーボンオフセットに関連した新たなソリューションを提供するため、2023年11月には「IGNITURE」というソリューション事業ブランドを立ち上げました。これにより、家庭やビジネスの両面で、持続可能な生活を実現するサポートを強化していきます。
このように、東京ガスグループはカーボンクレジットや人権問題に対する取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献し続けていくでしょう。また、2023年10月には創立140周年を迎え、未来に向けてさらなる挑戦を進めていくことが期待されます。