不登校支援の新視点
2023-07-26 13:32:47
不登校家庭への支援の新たなアプローチが始まる
不登校家庭への支援の新たなアプローチが始まる
近年、日本で不登校の小中学生の数が増加していることが明らかになっています。2021年度調査によると、全国で不登校の小中学生は約24万4940人、これは9年連続での増加を示しています。この背景には、家庭自体に多くのストレスがかかり、特に保護者が経済的・精神的負担を強いられている点が指摘されています。そこで、NPO法人キーデザインが企業のCSR活動と連携し、不登校家庭の社会的孤立を防ぐ取り組みを始めました。
不登校の現状
不登校の子どもたちの背景には、学校でのストレスが大きな要因とされています。最近のアンケート調査では、保護者の61%が「仕事や働き方に影響が出ている」と答えており、具体的には「休職・退職した」という回答が21.3%、「欠勤・早退が多くなった」が33.8%と、深刻な状況が浮き彫りになっています。これらの結果から、不登校に至っている子どもだけでなく、その家族の生活全体が影響を受けていることがわかります。
実際に相談を受ける中で、「不安定な我が子を家にひとりにしておけない」と考えたり、「通学に関する送り迎えで仕事に影響が出る」といった声が多く聞かれます。こうした家庭の状況に目を向け、支援策が求められています。
子どもと過ごすことの難しさ
不登校の子どもたちを家に置くことの難しさもあります。保護者が自宅での時間が増えると、普段は目にすることのない子どもの生活スタイルを目の当たりにし、「ダラダラ過ごしている」姿が見えてきます。この状況が、かえって親子の関係にフリクションを生む場合もあります。不登校の原因となったストレスを受けた子どもが、再び家では安心できない環境にさらされることがあります。このように、不登校問題は子どもだけでなく、親にも大きな影響を与えているのです。
保護者の支援がカギ
NPO法人キーデザインは、特に保護者を対象とした支援の重要性を訴えています。アンケート結果によると、約50%の保護者が「助けがほしいと思っている」と回答しており、24%以上が「限界を超えている」と感じていることがわかりました。このように、多くの保護者が孤立した状況にあり、周囲に相談できないことが問題の一因となっています。
また、夫婦間や家庭内のコミュニケーションの不足も、保護者のストレスを増大させています。相談先がないと感じている保護者もおり、全体の12.1%が「相談先はない」と回答しています。
相談窓口の役割
このような状況に応じて、NPO法人キーデザインは「お母さんのほけんしつ」という無料LINE相談窓口を設置し、支援を行っています。ここでは、普段フリースクールで子どもたちと関わっているスタッフや、自らも不登校の子どもを持つ親たちが相談員として活動しています。この窓口を利用することで、保護者は気軽に悩みを相談し、必要なサポートを受けることができるのです。
企業の協力を呼びかけ
不登校の子どもを支える親が多くいる中で、NPO法人はより幅広い支援が必要だと考えています。企業との連携の一環として、名刺サイズの案内カードを作成し、各地の医療機関や不登校支援団体で配布しています。これにより、より多くの家庭に情報が届けられることを目指しています。
2023年8月31日までに、全国の企業や団体に対して配布協力を呼びかけており、1年間で100か所の支援を目指しています。家庭や子どもたちが安心して過ごせる社会をつくるため、企業の協力が不可欠です。この活動を通じて、親子共に安らげる環境を整えることを目指しています。
まとめ
不登校問題は、子どもだけでなく、保護者や家庭全体が影響を受ける深刻な課題です。NPO法人キーデザインの新たな取り組みにより、より多くの家族が助けを求めやすくなることが期待されます。子どもの自死を防ぐための支援策として、私たち一人一人が何ができるのかを考えていく必要があります。
会社情報
- 会社名
-
特定非営利活動法人キーデザイン
- 住所
- 栃木県宇都宮市鶴田町1627‐14
- 電話番号
-
080-1853-6296