フェアトレード・プレミアムが過去最高に
2022年、開発途上国の生産者に支払われたフェアトレード・プレミアムが約307億円、前年比で10%増の過去最高額に達しました。この金額は、世界約100カ国でフェアトレードを展開するフェアトレード・インターナショナルによるもので、特にバナナやカカオ、コーヒーなどの主要産品には多くの利益がもたらされています。
フェアトレード・プレミアムの重要性
フェアトレード・プレミアムとは、生産者が販売価格に上乗せして受け取る奨励金のことです。この資金は、単に利益を上げるだけでなく、地域の経済や社会、環境の発展にも寄与しています。生産者自身がその使い道を決定することができるため、地域のニーズに応じたプロジェクトが展開されるのです。
2022年度のデータによると、フェアトレード・プレミアムのうち約2億1000万ユーロ(約289億円)が主要産品によるものであり、残りの1200万ユーロ(約16億円)がその他の産品の生産者組織に支払われました。日本からのプレミアムも約9824万円に達し、国内でのフェアトレード商品の普及が影響を与えていることが伺えます。
小規模生産者からの具体的な事例
やはり小規模生産者組織は、このプレミアムの利用において特に活発です。彼らは得た資金の約36%を農業の改善や生産プロセスに投資し、具体的には新しい加工工場や倉庫の建設、農業資材の購入に使っています。また、23%については経済的支援や金融サービスに向けられるなど、実用的に運用されています。
一方、大規模な農園で働く労働者たちは、75%を教育や住居といった社会的な投資に回しています。生産環境の向上を目指し、労働者たちとその家族の生活も守ろうとする姿勢が見受けられます。
認証制度と持続可能な開発
2022年には1910の生産者組織がフェアトレードの認証を受けており、その中には小規模生産者が1563、雇用労働に頼る大規模農場が347存在します。これらの組織に属する農家や労働者の数はそれぞれ、1,848,268人と197,118人。この数字からも、フェアトレードがどれほど広範囲にわたる取り組みであるかが分かります。
さらに、オーガニック認証を受けた商品にはプレミアムが上乗せされるルールがあり、2022年に販売されたフェアトレードコーヒーの64%、バナナの63%がオーガニックに認定されていました。持続可能な農業が実現されつつあることも喜ばしいニュースです。
女性の活躍と将来への投資
フェアトレードの農家において、女性の割合は21%に達します。特に認証を受けた穀物は60%が女性生産者によって作られ、フルーツジュースの生産では74%が女性労働者です。このように、フェアトレードは女性の地位向上にも寄与します。
例えば、コートジボワールのカカオ生産者、サンカラ・アゼタさんはフェアトレード・プレミアムを用いて自身のビジネスへ投資し、安定した収入を得ることができました。また、コロンビアの協同組合では、フェアトレード・プレミアムを通じて毎年約6万3000ユーロを受け取り、気候変動対策にも力を入れています。
フェアトレードの理念
フェアトレードは単なる取引にとどまらず、貧困問題の解決、持続可能な社会の実現を目指すものです。国連のSDGsにおける目標達成にも貢献するこの仕組みは、今後さらに多くの人々に支持されることでしょう。私たちが選ぶ商品の背後にある生産者のことを考え、フェアトレードの理念を理解しましょう。
結論
フェアトレードは、単に経済的な側面だけでなく、社会、環境といった多面的な効果を持っています。今後も新たなプレミアムが生産者を支えることで、さらなる発展が期待されます。私たちの消費行動が、この循環をより強固なものにするのです。