神戸市北区八多町には、自然豊かな里山風景が広がり、地域コミュニティ交通「八多淡河バス」が住民の日常生活を支えています。バスは、神戸電鉄岡場駅と道場南口駅を結び、住民の通学や買い物の主要な手段となっています。2012年にバスが誕生して以来、住民にとって不可欠な交通手段となっていましたが、最近では運転士不足の影響で路線が休止されるなど、運営にはさまざまな課題が山積していました。
そんな中、八多淡河バスが運行され始めた背景には、地域住民が住みよい環境を守ろうとする強い思いがあったのです。2024年の冬、路線バスの運休を受けて、地元住民が参加した説明会が開催されました。この会議で、地域の足を守るために八多淡河バスの拡大運行が提案されました。そして、2024年10月には試験運行が開始され、年度末には本格運行が開始されました。この運行の成功に、地域の意見を丁寧に取り入れた結果が現れています。
その後、地域の交通についての未来の方向性を探る中で、「八多学園」の6年生が八多町の課題について考える機会がありました。子どもたちと地域の活性化を目指して、八多学園の「バス革命課」がプロジェクトを立ち上げました。地域の特産品や魅力を外部に発信するためのお絵描きラッピングバスの構想が生まれると、神姫バスや神戸市交通政策課、地元の小学校も協力し合い、プロジェクトは実現の運びとなりました。
この「お絵描きラッピングバス」は、八多学園をはじめ、好徳小学校、淡河小学校、志染小学校の児童たちが描いた絵で装飾されています。テーマは「自慢の特産品やPRしたいこと」で、地域を訪れる人々に八多町の魅力を伝えることが目的です。巴士の運行は、2025年12月18日から開始される予定となっており、地域の人々にとっても特別な意味を持つプロジェクトとなります。
お披露目式は2025年12月17日に八多学園で行われ、地域の関係者や住民が集まり、完成したバスのお披露目を祝います。式典では、デザインを手がけた子どもたちが自らの想いを伝え、バス運行を支える事業者や行政からも応援のメッセージが届けられるでしょう。また、神戸親和大学の学生たちもこの取り組みに協力し、地域の未来を共に考える機会を持っています。縁が深い地域の住民と学生の交流が生まれ、新たなコミュニティが形成されつつあることは、地域振興にも繋がる大きな一歩と言えるでしょう。今後は、地域全体での交流を通じて、さらなる活性化の可能性が拡がることが期待されています。