イベントレポート:AIの民主化の新しいアプローチ
2026年6月26日、幕張メッセで「AWS Summit Japan 2026」が開催され、スマートニュース株式会社のIsaac Wong氏が登壇しました。彼は「Amazon Bedrockで実現する Claude Code全社民主化」と題して、全社員が活用できるAIコーディング環境について詳しく説明しました。これは、同社が進める「AI Transformation」の重要な取り組みの一環と位置づけられています。
AI Transformationの進展
スマートニュースでは創業以来、AIを活用して業務全体を見直し、プロダクト開発との統合を目指しています。Isaacは、AIコーディングツールの利用はエンジニアだけの特権にとどまるべきではないと強調しました。400名以上の社員のうち約37%が非エンジニアであり、彼らも自らの業務課題を解決するためにAIを活用したいと考えています。
この背景には、ルーティン作業の自動化やレポート生成など、AIによって解決されうる業務ニーズがあります。しかし、従来のコーディング環境は専門的な知識が必要であり、非エンジニアには難しいものでした。その点、Isaacは自然言語でAIに指示を出せる‘Vibe Coding’の可能性を提案し、これが非エンジニアに新たなツールの利用を可能にする道であると語りました。
全社員展開を阻む壁
Isaacは、コーディングツールの普及に際して直面する課題を4つ挙げました。それは、セキュリティ、利用のしやすさ、可視性、ライセンス管理です。特に、APIキーの管理には多くのリスクが伴います。そのため、スマートニュースでは全社員が安心して使えるアーキテクチャの構築を目指しました。
新しい基盤の設計
「Claude Code for Everyone」の管理基盤は、Okta SSOによる簡便な認証を用い、安全性と使いやすさを両立させています。社員はOktaアカウントでのログインによって、簡単にClaude Codeを利用開始できます。これにより、従来のようなAPIキーの運用負担を軽減し、退職者や異動によるアクセス権限の管理も簡素化されます。
利用の可視化と運用改善
API呼び出しをOpenTelemetryで記録し、どのモデルがどれだけ使われているかを把握できる仕組みも整備されています。これにより、利用状況を可視化し、継続的な改善を行う体制が設けられています。
成果の展開
「Claude Code for Everyone」は、既に社内で75%の浸透率を達成しました。特に、非エンジニアの利用が進んでいることが注目されています。実際に非エンジニア員がボットを開発する事例も紹介され、これがAI利活用の現実性を証明しています。
今後の展望
Isaac氏は今後の計画についても言及しました。既存の基盤を土台に、社内知識のゲートウェイやスキルの共有、業務自動化を進めるアプローチが構想されています。彼の言葉を借りれば、「安全で、スケーラブルで、誰でも使えるAI民主化基盤」を構築し、会社の成長を加速することが目指されています。
スマートニュースは、全社員のAI活用を日常業務に取り入れる環境作りを進め、さらなる革新を目指しています。